「ハイハイ、皆原稿に取り掛かってね!」
朱鳥先輩の凛とした声が図書室に響く。
いつの間にか来ていた亜良ちゃんが
はいと律儀に返事をして下書きの
下書きのようなものを取りだした。
亜良ちゃんのは消しゴムで何回も消して、
少し濃いシャーペンで書いているから、もうボロボロになっている。
「「失礼します。」」
絶妙なハモリで、淡雪ちゃんと霞深ちゃんが登場した。
「?こんにちは。我が文芸部に何か御用かしら?」
朱鳥先輩が他所いきの声で答える。ぶっちゃけ、迫力が凄い。
けれど、2人は特に何も物怖じせず、にっこり笑って言った。
「「いえ。もうすぐ私たち転校するので御挨拶に。」」
「それだけではないのだろう?」
永久の声が響いた。2人から笑顔の仮面が外れた。
「お主らの事だ。レンさんから頼まれたのだろう?」
「「さすが、永久さん。此処の空気が
淀んでいたので浄化に来たんです。」」
「ふん。そんな事だろうと思ったのだ。」
「浄化、ねぇ。」
朱鳥先輩が顎と唇に手を添えて考えるそぶりを見せた。
だけれど、唇の端は上がっていて(=笑っている)
梓先輩と葵先輩は苦笑気味だ。
「いいわよ。」
「「ありがとうございます。」」
―30分後―
「「終わりました。では、みなさんお茶でもいかが?」」
出されたのは、蛍光色のオレンジ色をした液体だった。
完璧お茶じゃないよね!??
「お!いっただきま〜す!」
「あ、イツキくん!」
亜良ちゃんが止めるのも聞かず、男・西一樹はお茶もどきを口に含んだ。
「ふんふん。サラッと感はなく、ドロッとしてて、爽やかよりも
甘苦い味わいが何と、、、ごふぅ!!!」
「い、イツキくん!」
西一樹クンのご冥福を心からお祈りします。―文芸部一同
追記。あの液体は何だったの?と2人を問い詰めると
「「松脂とムカデ油、すっぽん、玄米、
醤油、食紅etc.です。」」
あの2人のお茶の定義を知りたい。
あと、前に勧められた緑茶は何が入っているのか。
知りたいけれど、転校してしまった今知る術は無い。
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