奏哉の事、そんな変な主観で見てほしくなかった。
それに、分からないのに勝手にあれこれ推測されるのも。
あたしがした、永久に対する事と同じ。
 
 
「永久。」
「ん?」
「あたしさ、青柳さんにいろいろ言われて気付いたんだけど、
ごめん。あたし、永久とは一致してない見方をしてたんだよね。」
「だから?」
「あたし、永久と同じ見方で歩いていきたい。
………なんか恥ずかしいんだけど、また、一緒にどこかいこう?」
 永久はふっと笑って制服の袖をまくりあげた。
腕にくっきり残ったクロス。

「小生はな。これ(クロス)があるおかげで歩いてきたのだ。」
「?」
「どういう意味かわかるか?」
「夢を見るのが怖くて、このクロスをみると泣けた。永遠に涙が
止まらないと思うほど、な………。
でも、溜めこむと、人は何をするかわからない。小生はもう死んでたのかも
しれない。生きてても、ものいえぬ人間になってたのかもしれない。」
「…」
「ありがと。成留。」
 
あたしには、この時から永久が、かけがえのない存在になっていった。

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