陸side4



 それからのことは、よく覚えていない。

 みどねぇがいなくても、世界は回っていく。
だから、わしはみどねぇを忘れずに生きていこうと。
みどねぇの笑顔が。顔が。体が。匂いが。
わしから消えないように。


過去の幻影にとらわれてると、なにも進めないって、
誰もが口をそろえて言う。
それは、ほんまか?
わしは、こうして進んでる。
みどねぇの全ては、一切風化しない。美化もしない。

わしは、そう決めた。


 海月がわしを頼ってくれるのは、うれしい。
でも、心がいたい。
海月の時折見せる顔が、みどねぇの最後の顔と重なるから。

だから。海月が
本当に愛せる人を見つけられますように。

みどねぇの分も、幸せでありますように。
わしの、願いや。

prev next

 

「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -