陸side1
さて。これからは、わしの姉、緑里の話をきいてくれんかぇ?
緑里こと、みどねぇは、2つ上の姉やった。
わしには、みどねぇ以外にも兄弟がおった。
まぁ……血はつながってないけどな。
長いこと子供のできひんかったオカンとあの人は、
次々と養子を迎えた。
一番上の清都にぃは、引き取られて一年後に死んだという。
栄養失調で、いわゆる、ネグレクトってやつ?
次の明海ねぇは、どこかに消えた。
その次の大理にぃも、消えた。
そして、みどねぇが引き取られた。
けれど、みどねぇが引き取られてすぐ、わしが生まれた。
オカンとあの人にとっては、念願の子供やった。
そして、みどねぇにとっても、待ち望んだ家族だった。
それから、何もかもが上手くいっていた。
オカンはよく笑うようになったし、清都にぃを殺した張本人の
あの人も、清都にぃの墓前に手を合わせるようになった。
そして、わしはまだ夢を見ていた。
みどねぇが血のつながらない義姉貴だったこと。
みどねぇの前にも、何人かの子供を引き取ったこと。
そして、一人を殺したこと。
すべて、みどねぇから聞いた。
―ユメ サメル
それから、わしはみどねぇにしか頼らなくなった。
オカンは「仲がいいのね」って言ってたけど、
あの人は、それを許さなかった。
▼ ◎