アイドルは多忙


世間でも大人気アイドルの神無月蒼真ははぁっと憂鬱そうに溜息を吐いた。

その溜息の先には茶髪の髪をしていて陶器の様に生白い肌を持っている佐倉唯斗が原因。


「唯斗…」

「………………。」




*****



事の原因は世間でも大人気アイドルの神無月蒼真が唯斗との約束を無断で破ったのがいけなかったのだ。

唯斗は「蒼真まだかな…」と部屋に掛けてあるをちらちらと確認しながら腕を振るった料理を机に並べながら待っていた。

だが、時間は無謀にも刻々と進んでいくばかりで、玄関からは「ただいま」の聞き慣れた低い声が聞こえず気がつけば11の数字に長針が刺していた。

料理を作り待ちはじめた時間は7時辺りで約4時間も待っている状態だった。

唯斗は短気な方ではあったも恋人は大人気アイドルなので自分の我が儘を言うほど幼稚にもなれなく、口を紡ぐ。

「なにアイツ。仕事長引いてんならメールぐらいしろよ」

握りしめたアイフォンに俺は文句一つを青髪の恋人にぶつけてもう知らないと作った料理を自分の分だけ食べれば立ち上がり食器を片手にキッチンに向かった。

その最中。なんで蒼真は連絡くれないんだろうとばかり思った。

今日は蒼真がわざわざ忙しいのにたまには二人で過ごそう?て時間を空けてくれた。
まあ、蒼真からの約束だったし…あまり文句は言えないのかもと思うけど、無理なら連絡ぐらいは欲しかった。




あんなやつもうしらねぇ。寝る!




そう俺は思いズカズカと寝室へと向かえばキングサイズのベッドにダイブして枕に顔を埋めた。

すると枕から香ってきた微かだけど恋人の匂いに胸を締め付けられた。

もう、蒼真との擦れ違い生活を送ってと3週間は余裕で経過している。

体的に辛いけど1番辛いのは胸だ。ギシギシと軋む。


瞼を強制シャットダウンさせればシーツを引っ張り無理矢理眠ろうと意識をまどろませた最中にガチャッと扉が開く音と蒼真の気怠い声が鼓膜を震わせた。


「そ、うま………」


きっとリビングには俺が不慣れだけど作った料理があるだろう。だが、蒼真は料理にも目をくれなかったんだろう。寝室の扉を開いて唯斗が眠る膨らみを見れば口元を歪めてベッドのふちに座っては「唯斗、ごめん」と呟いた。





「何がごめんだ。はげ、しね」

「なんだ起きてたの?しねは酷いなあ…」

「うるさい。嘘つき。大嫌い」



唯斗はむくりと起き上がり鬼にも似た形相で蒼真を睨んでは蒼真は仕事帰りなんだろう。少し疲れた様子を見せながらも恋人を宥めようと唯斗に触れようとした瞬間。

「触るな」

「唯斗………」


触れる数センチ手前で唯斗は釘を刺して再びベッドに身を沈めた。


と冒頭に戻り、二人の居る空間には沈黙ばかりが流れた。

「今日、仕事が長引いちゃってさ…。抜け出せなかったんだよ」

「………………」

「なあ、唯斗…?」

唯斗はさっきからだんまりを決め込んでいる。触ろうとすれば「触るな」と手の平を叩いては睨みをきかせてくる。

だから、恋人を抱きしめられないし、勿論キスなんて到底出来はしないのに唯斗には悪いけどしょんぼりしちゃう。

「唯斗…」

「別れる。知らない、もう、知らない…から!」

あ、ヤバ、泣かせる。

唯斗の声が段々と歪み細い肩をふるふると揺らしては鼻をずずっと啜る音が聞こえた。

寂しくさせたのは俺が悪いし、勿論約束をすっぽかしたのも悪いと思ってる。だけど唯斗からの同居拒否に別れる発言は結構厳しい。

だから、この際あとの事は知らない。唯斗をシーツごと抱きしめては頬にちゅっと口づけを。

許してくれるかは解らないけど、別れたくないから唯斗を抱きしめた。

すると唯斗は肩を震わせては鼻をずずっと啜りながら赤く滲む瞳を向けながらしねと一言言う。

唯斗のしねはたまに悪意が篭ってる場合もあるけど、この場合は好きって意味合いが含まれてるのは知ってる。

もう何年の付き合いだと思ってるんだ。長年の付き合いだから、唯斗を抱きしめては耳元でとにかく謝った。



唯斗は機嫌が段々と良くなり、もう解りやすいヤツ。
まあ、そんな唯斗を好きになった俺も罰当たりなんだろうけどな。


唯斗の生白い首筋に吸い付けば赤く華を散らし、唯斗に笑いかけた


そして指切りをし、次約束破ったらけつあなに針千本飲ますと誓えば赤い唇に触れるだけの口づけを――






*****
(後日)


「唯斗、ごめーん!!」

「うるさい!しね!ばか!!」

「ほんとごめんて!」

「言い訳はいらねぇよ!!家出してやるからな!」

「ゆ、唯斗ぉぉぉおおおお!!!」




蒼真は結局唯斗より仕事を優先してしまいご立腹な唯斗は蒼真に会わないと近い一ヶ月は喧嘩したままだったとか、ちがうとか――


  
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