エフィちゃんならきっと分かる(断言) | ナノ
アルルカ入れ替わり





鳥の鳴き声が聞こえる。
窓から朝日が差し込んでくるのを感じて目を開くと、隣にはまだ寝息を立てているルカが。

「ん…?」

おかしい。どうして僕の顔が見えるんだ。
まだ寝ぼけてるのかな。鏡でも見てこようとベッドから出ようとすると、鈍い痛みが腰に走る。
これはまさか。いやいや、認めないぞ。絶対に認めたくない。
怠さに耐えて洗面台まで行く。恐る恐る鏡を覗き込むと。

「うわぁあああぁ!!ルカぁあああ!!」

腰が痛いのも忘れてルカの眠っているベッドに戻る。この叫び声でも起きないのは、疲れてるからなのかな…。いつも何でもないように振る舞ってるけど、だいぶ無理させてたんだなあ。今度からもう少し優しくしよう。いやいや、何を脱線しているんだ。
まずは起こさないとと思って、少し申し訳ないけど体を揺さぶってみる。

「………おはようございます……どうしました?」
「大変だよ!見て!!」
「アルムくん…?トマトでもぶつけられたんですか?随分赤いですねぇ…」

目は開けたものの、寝ぼけ眼のルカはまだ事態を分かってないらしい。僕の方を見つめて的外れな事を言ってから、またスーッと目を閉じてしまった。
いつもなら可愛いなあで和む所だけど、流石にそんな事を言ってる余裕はないぞ。

「違うって!起きてよ!お願いだから!」

騒ぎ立てると、ゆっくりした動作で目をごしごし擦ってから、ようやくルカは目を開けた。

「うう…ん………?ええっ!?」
「そう!僕ら、入れ替わってるんだ!」

口を開きっぱなしにして僕の方を見る。どうやら、事の重大さに気が付いたみたいだ。

「ど…どうしようか…?」

僕の姿をしたルカが顎に手を置いて、考える仕草をする。自分を見るなんてまずない事だから、なんだか変な気分だ。

「……隠しても無駄でしょう。すぐに皆にこの事を話して…原因と元に戻る方法を…」

「そ、そうだね。話せば何か分かるかもしれない」

二人していそいそ着替えて部屋を出る。少し歩くと、自分の部屋から出てきたエフィに声をかけられた。

「アルム、おはよう!今日は早いのね」
「お早うございます、エフィさん」
「お早う、エフィ」

いつも通り挨拶をしてから、入れ替わってるのを思い出してハッとする。
突然僕に敬語で挨拶されて、ルカに親しげな挨拶をされたら、驚き以外の何でもないはずだ。

「アルム、どうしたの?考え事?」

そう言って、エフィは心配そうに僕…正確に言えば、入れ替わってルカの姿になった僕の方を見つめている。
僕の姿になったルカには、全く視線が行っていない。

「エ…エフィ?僕の事、分かるの…?」
「ずっと一緒だったのよ?誰かと入れ替わったって、姿かたちが変わったってアルムはアルム。ちゃんと分かるに決まってるじゃない」

まさか、こっちが驚く事になるなんて思いもしなかったぞ。
僕らが入れ替わったのに気が付いた幼馴染は、後にも先にもエフィだけだった。女の子の洞察力って凄いんだなあ。

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