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ちょっと見てくると野営地近くにあった街を指差して、幼馴染達と出掛けたアルム。

暫くは帰らないだろう。
そうルカは思っていたのだけれど、案外早く戻って来たので驚いた反面、少し嬉しかった。

「アルムくん、随分とご機嫌ですねえ。何かいいものに出会えましたか?」

街に行く時に持っていた皮袋が少し膨らんでいたので聞いてみれば、「それもそうなんだけど」と返してから、嬉しそうに。

「僕が戻った時、ルカの頬が緩んでた。ふにゃーって。それが可愛くて」

かあっと顔に熱が集まるのを感じ、思わずうつむく。

「……もう、からかわないでください」

まさか顔に出ていたとは思っておらず、ルカは上手い事はぐらかす事ができなかった。

「ほら見て。これ」

気を悪くしたと思われたのが、アルムは慌てたように袋の中身を取り出して見せる。
出てきたのは2本のエールと小さな包み。解いて姿を現したのは。

「スティック…プレッツェル…ですか?」
「そう。棒になってるのなんて珍しいからつい買っちゃった。一緒に食べよう」

アルムはルカにエールを手渡すと、プレッツェルをつまんで食べ始める。
それに続くかたちで、ルカも1本口に運んだ。

サクサクと軽い食感が心地よい。エールともよく合いそうな味だった。

「美味しいです。アルムくん、ありがとうございます」
「どういたしまして」

顔を合わせて笑って、取り留めのない事を話しながら二人で食べ進めていく。

「おや、残り1本になりましたね。アルムくん、どうぞ」

包みに手を差し出し、ルカは最後に残ったそれをアルムに食べるように促した。
しかしアルムは首を横に振って。

「ねえ、半分ずつ食べよう。ちょっと口開けてくれる」
「……?……はい」

プレッツェルを摘まんで、首を傾げつつも開けられた口に端をちょいと含ませる。

「僕はこっちから食べていくから、ルカはそっちからね」

アルムはどんどん食べ進めて行く。
自分の状況に気が付いたルカが口からプレッツェルを外そうとした時にはもう、しっかり頭を腕で固定されてしまっていた。

ぴとりと唇が重なると、頭も腕もぱっと離された。
混乱してそれに気が付いていないルカに、アルムは悪戯っぽくウインクをして見せた後。

「最後はデザート」

それからもう一度、口づけて。

「ルカ、ごちそうさまでした」
「……あっ…!」

我に返ったルカは、真っ赤に照れてしまった。



誤字脱字チェックしてないです(いつもの)
気が付き次第なおします…

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