しんやてんしょん | ナノ
静かな夜。
眠りに就く前の、ちょっとしたふれあいの時間。
何をするわけでもなく、寝転がってぎゅうぎゅうルカの腰に抱きついていたアルムが口を開いた。
「ねえ、僕のことどのくらい好き?」
「どのくらい…?」
首をかしげたルカに「うん」と返事をしてアルムは起き上がる。
それから両手で自分の胸と同じ位の幅を作って。
「このくらい?」
今度はアルムが首をかしげた。
ルカは「いいえ」と首を横に振る。
この答えはアルムも予想していたらしくニコニコ笑いながら頷く。
「じゃあ、このくらい?」
次は両腕を広げて。
これにもルカは、はいと言わない。
「ええ…じゃあどのくらいなの」
「うーん、困りましたねぇ」
答えようとしない様子を見て、アルムは不安になってきた。
いつも大好きだと言ってくれるのは、建前だったのかと後ろ向きな事を思うくらいに。
「どうして困るの。もしかして、実はそこまで好きじゃないとか…?そんなの僕、嫌だよ」
先ほどまでの機嫌はどこへやら。
ぶすくれた顔でルカを組み敷いて。
「正直に答えてくれるまで離さない」
見つめると言うより、ほぼにらみつけるような眼差し。
ルカはそれに全く動じないどころか、どこか楽しげだ。
「ルカ、僕は真剣なんだ」
「ふふ、すみません。白状します」
ごくりと唾を飲み込み、答えを待つ。
「体や世界では全く足りません。距離や言葉では例えられないくらいアルムくんが大好きなので、答えあぐねていました」
はにかんだ顔で言われて、アルムの不安は跡形もなく消え去った。
それからやってきたのは、疑ってしまった罪悪感。
「…ごめん。疑ったりして」
「謝らないでください。疑われるような態度を取った私にも非があります。ところでアルムくん」
返事をすると、ルカは茶目っ気のある顔をして。
「きみはどのくらい私が好きですか?」
そしてタイトルへ(地味な補足)
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