うでまくらもすき | ナノ
腕枕




「ルカ、腕枕させて」

ついに言ってしまった。アルムは達成感と不安でいっぱいだった。

二人で同じベッドに入る。
それから向かい合わせに横になり、おやすみの挨拶と口づけをして、手を繋いで眠る。
これがいつもの二人の眠り方。

ただ、アルムには予てからやりたいことがあって。
それが腕枕。
聞いた話では腕が痺れるだの重たいだのいろいろと言われているが、彼はそれを味わってみたかったのである。

しかし、手を繋いだ時の、安心したようにふにゃりと笑うルカの顔が好きで、アルムは今までどうしても言い出せなかった。
今日こそは今日こそはと意気込みながらも毎回言い損ね、ようやく言えたはいいものの、今度はルカからどう言われるかが心配になって。

ルカに限ってそんな事はないだろうけれど、断られたり嫌われたりしたらどうしようと考えてしまう。
戦場でだってこんなに考え込んだ事はないのに、ルカの事に関してはこんな風になって。

情けなさでもうルカの方もまともに見られず、アルムは俯いてしまった。

「眠る前、何か言いたそうにしていたのはそういう事でしたか」

何故か安心したように「なら遠慮はいりませんよ、アルムくん」と微笑むルカ。

「悲しい事でも言われてしまうのかと、心配で仕方がなかったんです」

言いたい事がありそうなのは分かっていたが、聞くに聞けなかったらしい。
戦場での件まで言いだしたので、「それ、僕と同じだ」とアルムが笑うと、ルカもつられて笑った。

二人でベッドに入る。
アルムが先に横になり、枕の上に腕を置く。それを見てから、ルカはアルムが伸ばした腕の上に、ゆっくり、ゆっくり頭を乗せた。
少しずつ掛かる重さを感じて、これを朝までやるとなると腕は痺れるだろう。とアルムは思った。
でも、幸せな重さだなとも。

「なんだか、照れますね」

それに手を繋ぐよりも、ずいぶん二人の距離が近い。
もっと近く近くしたくて空いている方の腕でルカを抱き寄せると、息がかかる程の距離になった。

「いつもこのぐらいにしよう。ね?」

言うと、ルカは目を丸くしたので、恥ずかしがって離れてしまうかなと思いきや、嬉しそうに「はい」と返事をしてくれた。
最後におやすみの挨拶をして、口づけをする。
唇を離した時のルカの表情は、手を繋いで眠る時と変わらない、アルムの好きなものだった。




深夜テンションの産物その2

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