おまけ的な | ナノ
とつげき!




「ルカ、大事な話がある」
「はい、なんでしょう?」

幼馴染達に背中を押され、急ぎ部屋へと戻ったアルム。
いつになく真剣な表情と声で呼ばれたルカは開いていた本を閉じ、彼につられたように硬い表情を作った。

「きみを抱きたい。……いや、そうじゃなくて」

案の定ルカは「遠慮なく」とでも言うような顔で両腕を広げてみせたので、やんわりとお断りをする。

「僕の言ってる抱くの意味は共寝…ええと、一緒に寝る方じゃなくて、まぐわいの方」

共寝だけだと今度は昼寝でも…なんて事になりそうだなと思い、アルムはグレイの言う通りに言葉をオブラートに包むのをやめた。
ここまで伝えて意味が分からないなんて言われるのは流石にないだろうが、言われたら言われたでプラトニックを貫くことにしようとアルムは覚悟を決める。

「…つまりアルムくんは…私と肉体交渉をしたいと?」
「そう!」

ちゃんと意味が分かってる、そこまで初心じゃなかった!と心の中でガッツポーズをする。
言われたルカの方は、どうしたらいいか迷っているような、困った顔をしていた。

「嫌だったら嫌でいいんだ。今まで通りで」
「…でも、アルムくんはしたいんでしょう?」
「まあ、それは…そうだけどさ」

そうだけど、の後に続く言葉が見つけられずに、アルムは黙ってしまった。
しばしの沈黙。

「…嫌では、ないんです。大好きな人が自分を求めてくれているんですから」

それを先に破ったのはルカだった。

「でも、いざ行為に及んで期待に応えらなかったらと思うと不安で。今までのお誘いもはぐらかしてしまいました」
「そんなの気にしなくていいよ。僕はルカに恋人として触れられるだけで十分……って、全部分かってたの?」
「はい。流石にそこまで初心ではありませんから」

ルカはアルムが思っていたほど、純情ではなかったらしい。良かったと思うのが半分、残念なのが半分。

「アルムくん。申し訳ありませんが、もう少しだけ…待ってください。心の準備ができたら、今度は私から…」

アルムを抱き締めてから、子供に言い聞かせる親のように「ね」と付け加えて。言ってから照れくさくなったのか、ルカの顔は耳まで赤くなっていた。



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