べりーしょーとしょーと | ナノ


兵法とかよく知らないのでスーッと流してもらえると助かります
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ワープで拠点に戻ったアルムから遅れる事数日。
砦の見張りと防衛を請け負った者を除いた本隊が帰還した。

幼馴染は防衛を請け負いこちらには戻って来ないとばかり思っていたので、耳慣れた声で名前を呼ばれた時、パイソンは驚いて思わず変な声を上げてしまった。
戻って来た理由を聞けば、ルカの相手をきちんと出来ているのか様子を見に来たと言われて。
副官様がそんな事で戻ってどうすんのと言ってやりたかったのだが、呆れの方が強すぎて言葉も出なかった。

それを聞いたルカがフォルスに「パイソンにはとても良くしてもらいました」なんて上機嫌で言うものだから「よくやった!」とバシバシ肩を叩かれた。
手加減はされていたのだろうけれど、結構と痛かったので顔を顰めてしまう。
余談だが、ルカの機嫌がいいのはアルムが傍にいる事が大部分を占めている。

そしてその後。

「フォルス。パイソンがあなたの為にお茶を淹れたいそうですよ」

帰還早々それ言うかよと、また変な声を上げてしまった。
お陰様で現在パイソンはルカからティーポットを借りて(と、言うよりは押しつけられたに近いけれど)自室でフォルスにお茶を淹れている。

手伝う訳でもなく横で支度を見つめられているので、パイソンは非常にやりづらかった。

「きちんとポットとカップを温めているんだな」
「どうせ飲むなら美味しい方がいいってのが先生の言い分なんで、俺はそれに従ってるだけ。ていうか向こうで待ってろって」

あっちへ行けと手を払う動作をしたパイソンを無視して、フォルスはうんうんと頷く。

「成程、ルカならそう言うだろう。お前は飲めれば何でもいいなんて思っていたんじゃないか」
「あーもうウルサイ。あっち行け」

図星を突かれて悔しかったので、今度は肘でフォルスを小突いて簡易キッチンから追い出した。
分かった分かったと苦笑しながら出て行くのを確認してから作業を進める。

温めたポットに茶葉とお湯を入れて、蒸らしている間に道具と一緒に持たされた茶請けを皿に取る。
パイソンの手際は、最終的にはルカから太鼓判を押されるくらいになっていた。
最初は億劫だった過程も、今ではそう感じなくなっていたので慣れって怖いもんだと頭の中で呟いて。

蒸らしが終わり、カップを手に取る。言われていたようになるべく高さを付けて注ぐと、コッソリ覗いていたらしいフォルスが拍手を送った。

「なかなか様になっているじゃないか」
「だーかーら、大人しく待ってろよ。恥ずかしい」

出来上がったお茶と茶請けをトレイに載せて準備はできた。
全然言う事を聞いてくれなかった腹いせに、運ぶのはフォルスに押し付けパイソンはさっさと椅子に座る。
二人分のカップと茶請けを並べて、フォルスも席に着いた。

「では、いただこう」
「うん。どーぞー」

手を合わせてから、フォルスはカップを手に取りお茶を啜る。
それはパイソンも同じだったけれど、やはりフォルスの反応が気になって。カップを傾けながらも視線は彼の方に向いていた。
フォルスはそれに気付く様子も無くカップを受皿に戻すと、溢れんばかりの笑みを向けて。

「美味しい。店にも引けを取らないな。何度も練習したんだろう?」
「練習せざるを得なかったんだよ。もー大変」

これを皮切りに、パイソンはフォルスに待機中の出来事を話し出した。主にアルムくん地獄の話だ。

(やはりガス抜きが必要だったか。戻ってきてよかった)

いつになく饒舌な様子で話す彼を見て、フォルスは拠点に戻ってきた本当の理由は胸に仕舞っておこうと心に決めた。
言ってしまえば、照れてだんまりを決め込まれてしまうだろうから。


フォルスとパイソン大好きです。フォルパイも好きです

  

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