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部活動もなく、テスト期間でもない久々の休日だった。
久々にルカと二人で一日をゆっくり過ごす事ができるとアルムは内心とても喜んでいて、学校の帰りにスーパーに寄って小遣いを全てつぎ込む勢いでおやつと飲み物を買い込み帰宅した。

パンパンに膨れたレジ袋を見てルカが眉を顰めたけれど、つい舞い上がって、と笑って誤魔化したのが昨日の話。

「ルカー、デザートにアイス食べない?」
「アイス、ですか?」
「そう。これ」

昼食後、食器を洗い終えて居間へ向かおうとしたルカに尋ねて、冷凍庫から前日に買っておいたアイスを取り出し、手渡す。

袋には製造会社のロゴと“たまごアイス”の文字。
丸い形が覗いていて、ルカにとっては見た事も聞いた事もないアイスだった。

「いただきます」

中身を開けてもっとよく見たくて、すぐに返事をする。
どうぞ、とアルムが自分の分の氷菓を取り出しながら言ったのを確認してから、居間で袋を開いて中身を取り出した。

手のひらにちょこんと乗ったアイスを触ってみる。ゴムの手触り。どうやら風船にアイスを入れて固めたものらしい。形は完全な球体ではなく卵型。成程これでたまごアイスなのかとルカは納得した。

「風船、切るね」

いつの間にかはさみを手にしていたアルムが風船の先端を切り取る。
指先で少し押すと、中のアイスが出てきたので舐め取って。広がる優しい甘さにルカは思わず頬を緩めた。

「美味しいです。ありがとうございます」
「どういたしまして」

アルムも微笑んで返すと、ルカはまたアイスに向き合い始めた。

_______


「わっ…」

突然上がった声を待っていたかのように、アルムはルカの方を向く。

「どうしたの?」
「その、出てくる…、あっ。速さ…が…、んっ」
「もしかして、これ食べるの初めて?」

問いに言葉で返す余裕がないらしく、ルカはただ頷いた。アルムの思った通りだった。
アイスの量が減り、出てくる勢いが増している。
それでもルカはご丁寧に切り口から舐めているので、手にまでアイスが零れかけていた。
その様が想像以上に色っぽくて、アルムは言葉も忘れて見入ってしまう。

「ルカ、舐めるんじゃなくて咥えて。…あー…」

言った時にはもう遅かった。アルムの言う通り、咥えようとルカが口を開けた瞬間に残り僅かとなったアイスが弾け出て、彼の口の周りを白く染める。
口にもしっかり入っていったらしく、けほけほ咳込んでいた。
情事を連想させる、官能的な光景をしっかり目に焼き付けて。手近にあったティッシュでルカの顔を拭いてやり、アルムは立ち上がる。

「大丈夫?今タオル濡らして持って来るから待ってて」
「……へい…き、です……ありが…と…、ご…」

言い切る前にまた咳込んでしまったので、背中を擦って落ち着いたのを見てから洗面台へ向かう。

(うーん、いいもの見れた。こんなに上手く行くなんてなあ)

しばらくオカズには困らないと、アルムは鼻歌を歌いながらタオルを手に取り、蛇口を捻った。



お預けされてるからね。こういう事企んじゃうのは仕方ないね
  

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