小話いろいろパラレルへん | ナノ
平日の通勤通学時間帯。二人仲良くアパートを出て、別れる前の道で。
「アルムくん。今日のお弁当、楽しみにしていてくださいね」
頑張って作ったんです、とほくほく顔で言われてアルムの気分は高揚した。
普通に作っても、味も見た目も高水準のお弁当を作ってくれているルカが頑張ったと言うくらいなのだから、相当な質が期待できるだろう。
「今から昼休みが楽しみになっちゃった。よーし、授業頑張ろう!ルカも仕事頑張ってね」
「ありがとうアルムくん。頑張ります」
それから、どちらからともなく手を振って。二人はそれぞれの目的地へ歩き出した。
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(あと少し…)
この授業が終われば昼休み。昼食が食べられる。
時間が近づくにつれてアルムはどんどん授業に身が入らなくなっていた。
チャイムが鳴るのを今か今かと待ちわびて、少し板書を写しては時計に目をやるのを何度も繰り返す。
(どんなお弁当なのかな。僕の好きな物だらけとか、とびきり豪華な物が入ってるとか…)
何をそんなにソワソワしてるんだ、と教師に注意を受けるまで延々アルムは弁当に思いを馳せていた。
そしてついに、お待ちかねの昼休み開始のチャイムが鳴った。
クラスメイトのグレイとロビンと3人で机をくっつけ、アルムはいそいそ弁当箱を取り出す。
「さて、どんな弁当か。俺らにも見せてもらおうか」
どかっとアルムの向かいに腰掛け、自分の弁当を机の上に置きながらグレイが言う。
この二人には今朝の事を話していたので、アルムのソワソワの理由を知っている。
「さっき注意されたぐらいだもんなあ。相当楽しみにしてただろ」
「うんっ、もう楽しみで楽しみでさ」
にこやかに言いながら、アルムは弁当箱の包みを外してフタを開く。
姿を現したのは、可愛らしい動物たちを模ったご飯とおかず。所謂キャラ弁というやつだ。
「わー!すっげえ!ファンシー!」
「しかも完成度高すぎだろ。作るのどんくらいかかったんだろうな」
まず、隣にいたロビンが声を上げた。それからグレイも感心したような口ぶりで続く。
写真だ写真だ、と携帯電話を取り出し二人は興奮した様子でアルムの弁当を撮影し始めた。
それを見て、僕の恋人はこんな事もできて凄いんだぞ。と何だか誇らしい気分になる。
(そうだ、ルカにメールしよう)
この気持ちを今すぐにでも伝えたいと思って、アルムも携帯電話を手に取った。
キャラ弁を持たせるJ( 'ー`)し
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