「意外に人、多いね…。」
「まぁ、休日だしね。」



今日の昼、いきなり凪冴が『散歩に行きたい!』と言い出したのがキッカケで、今俺と凪冴は近くの公園に来ていた。
散歩は元々好きだったので、久しぶりだな、と思いながら辺りを見渡す。
微笑ましい家族連れや、キャッキャと遊んでいる子供達でいっぱいだった。
トントン、と肩を叩かれたのでそちら側に顔を向ける。



「ねぇ、洸!見て、猫ーw可愛いよねw」
「お、久しぶりに見たな、猫なんて。」



凪冴が猫を抱いて、見せてきた。
その猫は真っ白で、毛並みがとても整っていた。
何処かの飼い猫だろうか。
そう考えながらも、片手で猫を操るように撫でる。
それに答えるように、手に擦りよって来た。



「わ、何!洸もうなつかれてんじゃん?!早っ!」
「んー?動物ってのは、弱点があるんだよ。」



凪冴は俺の言葉にキョトンとしていた。
軽く首を傾げる。



「弱点?」
「そ、弱点。猫とか犬でも撫でてやると気持ち良さそうにする事ってあるじゃん?その弱点が分かれば簡単だよ♪」



言い終わった後、凪冴の顔が一気に明るくなった。
目をキラキラさせて、凄く驚いてるようだ。



「へー!スゴいね!何で分かるの?!」
「………う〜ん…俺の場合、勘…かな」



少し、苦笑いで返す。
すると、『私には分かんないじゃん』と頬を膨らましていた。



「拗ねるなよ。凪冴も、ほら、ここ撫でてみな。」



俺が教えたところを、凪冴が撫でる。
猫はゴロゴロ言いながら、とても気持ち良さそうに体を動かした。



「きゃー可愛い〜〜!!」



満面の笑みで猫を撫でる凪冴の方が可愛いと思うけどw
そう思っていたが、猫を膝に置いた彼女は俺の方に顔を向けた。



「洸、さっき、動物には弱点があるって言ったじゃん?」
「…それが…どうかした?」
「ね、私の弱点って何?」



急すぎて、一瞬思考が停止してしまった。
凪冴の弱点。
聞かれるとは思わなかった…が、そう易々と教えるわけにはいかない。
教えてしまっては、弱点の意味がないからだ。



「凪冴の弱点か〜……聞きたい…?」
「…き、聞きたい!」



教える気は更々無かったが、からかってみたくて、『どーしよっかなー』と曖昧にしてみた。
すると、『嫌ならいいですぅー!』とまたもや頬を膨らまして拗ねる。
それがまた可愛くて、膝の猫に視線を落とした彼女を呼ぶ。



「…凪冴。」
「ん?」



凪冴が俺と目線を合わせた。
顔を近づけ、驚いている彼女をそのままに唇を重ねた。



「…なななな…何して…?!…ここ、公園だよ!?//」
「ん〜…嫌だった?」
「…い、嫌とかじゃなくて、人前だし…その…///」



手をバタつかせて、焦っている。
照れてるんだな、と思った俺はもう一言付け加えた。



「だって、凪冴が可愛かったんだもん。」
「…だっ…////…だから、そう言う恥ずかしい事を………////////」




真っ赤になりながら俯く凪冴を見ていると自然に頬が緩んでいた。





弱点。
(君の弱点は不意討ち)
(俺の弱点は君の照れ顔)



 




 
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