「昶、おはよ。」



私がそう声をかけると、さっきまで熟睡していた彼はまだぽけーっとしている。



「こら、シャキッとする!!!」



そう言って昶の背中を叩く。
『いでっ!』と声を上げて、嫌な顔でこちらを見る。



「凪冴!手加減くらいしろ!!」
「え?昶に手加減、必要なんだ〜?」
「っさい!いいから、寝かせろ!」



昶はそのまま机に突っ伏した。
私は半ば呆れつつ、はぁ…とため息をついた。



「昶、最近変わった。」
「………ぁ?」



小さくてもちゃんと返事はしてくれる。
そういう奴だから嫌いになれないのだ。



「全部背負い込んでる顔してる。」



『何があったの』と聞くが、やはり何も答えない。
あの事なのかもしれない。
……前、いきなり教室の窓が割れた事があった。
みんなはポルターガイストだとか言ってるけど、私には見えた。
黒い影のようなモノと…黒髪の昶が戦っていた。
…あのくらいからだ、昶の様子がおかしくなったのは。



「凪冴、お前頭でも打ったんじゃねえの?何にもねぇ…」
「嘘!昶嘘ついてる!!」



私は席を思いっ切り立ち、教室を出てあてもなく走った。
………昶は私に何も言わないつもりだろうか。
信頼、されていないのだろうか。
私はこんなにも…昶の事を心配しているのに…。
考えただけで涙が頬を伝った。
何でわかってくれないの…?



「昶の…バカ……」
「凪冴っ!!」
「…っ………!」



いきなり体が暖かくなった。
後ろから抱きしめられている事に気づいたのは、彼が話し始めてからだった。



「お前が、どこまで知ってるのかは知らねぇけど、俺が普通じゃない事をやってることは確かだ。」
「…昶…!」
「お前に…言わなかったのは…」



そこまで言って、昶はさっきよりも腕の力を強めた。
彼の温もりが心地好い。



「…心配かけたくなかったのと、巻き込みたくなかったんだ…。」



昶のその優しさに、私は体を委ねた。



「…あ…きらぁ…」
「!!な、なんでお前が泣くんだよ…。」



だって、昶の腕が震えているんだもん。
…涙を零さないように我慢しているが、それも意味を成さず。



「俺は何処にも行かねぇから…」



そう言っていても、昶がもうすぐどこかへ行ってしまいそうで…。
昶は笑ってくれたけど、私の不安は消えなかった。






知ってるよ、好きだから
(本当はその笑顔、無理してるって)




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フィオッカ様/11100キリリク
リクエストありがとうございました♪


悲恋っぽい?
一応、切甘ですよ?

@確かに恋だった




 
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