「ね、ね!!凪冴っ!」
「…な、何…?」
「今週の日曜日、日曜日!!」
にっこにこした笑顔で話しかけてくる洸。
因みに、私の彼氏でもある。
…だが、今のコレはただの幼稚園児だ。
ホントに25かよ、こいつ……。
「日曜日、なんの日か知ってる?!」
「……あーー…うん。」
ちらりと壁にかかったカレンダーに目をやる。
今週の…日曜日。
確認して、ため息をつく。
2月14日。
バレンタインデーである。
「俺、いつでもオッケーだからっ♪」
………何がっΣ(°□°;)
今の様子からすると、チョコをくれと。
そういうわけみたいだけど………。
「あ、はは、うん。」
生返事をした。
洸には言ってないけれど、私は料理が苦手なのだ。
お菓子作りだなんて、キッチンを爆破させたいんですか、あなたは。
「ねぇ、洸。」
「んー?何?」
「あのね、私……」
料理苦手なの!!
と言いたかったけれど、いきなりドアが開いたかと思えば、賢吾が勢いよく入ってきた。
タイミング悪っ!
「こーぉにーぃ!!!!…って…あれ、凪冴も居たんだ?」
後ろに昶もいる。
私が賢吾をジッと見ると、ヒッ!と身を縮めていた。
どうやら、冷た〜いオーラが出ていたらしい。
「…バカ賢吾。」
「えぇ!!!俺なんかした?!」
「KY!」
「えぇぇ!」
*************
そうして、時はすぎ……。
今日は2月14日、朝である。
「…よし。なんとかマシに作れたな…と。」
マシ、といえばマシだが、一般的な女の子が作るお菓子と比べると……月とスッポンだ。
でも、チョコが欲しいと言ってくれる彼がいる。
それはすごく嬉しい。
………だけど…。
「洸、」
「あ、凪冴っ!!!」
家にいくと洸がまた満面の笑みで迎えてくれる。
少し恥ずかしかった。
「あ、これ…」
「本当にくれたんだ!嬉し〜!ありがとう。」
私はおとなしく、綺麗にラッピングされた箱を渡した。
洸は嬉しそうにリボンを解き、中にある黒い塊を一つつまんで口に入れた。
「…ん!」
「え、何!まずかった?!」
「………いや、その逆。すごくおいしいよ。」
笑顔…というより、微笑と言った方が良いだろう。
そんな微笑み方されたら、誰だって赤面するものだ。
「なーに?顔真っ赤だよ?…俺に惚れなおした?」
「…な…///!ちがっ!!…おいしいなんて初めて言われたから!!」
にや、と笑う彼に対して私は咄嗟に嘘をついた。
初めておいしいって言われたのは本当だけど、それを言われて赤面したのは違う。
だが、それを聞いた洸は余計にやぁとした。
「へぇ〜、初めて言われたんだぁ。」
「…な、何よ…」
「本当にうまいんだってば。…ほら。」
『え』
と言ったが遅かった。
状況を判断する前に、口をふさがれていた。
「どう?おいしかった?」
にこっと笑う洸。
キスが終わった私の口には
甘いチョコレートの味が残っていた。
もっと、もっと
(甘くなぁれ)
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六様/7900キリリク
リクエストありがとうございました!
“おかげで煙草の〜”とラストが被りました。
無意識です。
ごめんなさいp(´⌒`q)