「けほっ、けほっ!タバコ臭い!」
そう言って隣の彼の頭を叩く。
彼は煙草を吸いながら私に抱きついているのだ。
煙を吐きながらイテテ、と頭をさする洸。
「だから、煙吐くなアホ!」
「痛い!痛いから!」
彼は頭を抱えて部屋の隅へ逃げる。
それでも口には半分も減ってないタバコ。
それを見た私はくわえたタバコを取ろうとするが…
「なーに?凪冴も吸いたいの?タバコ。」
ニヤリと笑いながら吸いかけのタバコを差し出してくる。
私はそれを奪い取り、灰皿に押し付ける。
「吸い始めるとやめらんないよ。」
「吸いませんから、ご心配なく。」
強く言い放ち、ふいっとそっぽを向いた。
凪冴、と呆れたようで期待するような声が私を呼ぶ。
何よ、と振り返ると視界が真っ暗になった。
「……んっ…」
キスをされたと気付いたのは、数秒経ってからだった。
舌を絡ませながら深く長いキスをしている彼の目はとても楽しそうだった。
キスが終わると、彼は満面の笑みで
「…おいしかったでしょ?」
と言った。
私はただ、彼の目を見ながら一言だけ言った。
「不味いよ、バカ。」
おかげで煙草の不味さを知った
(私も当分やめられない、貴方のキス)
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お題@Chien11