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「蓮二!待って、蓮二!」

「若菜。どうした。」





私が彼の隣に並ぶと静かに振り返る。





「幸村が行けって。」

「そうか、精市が。」





そういって少し笑った。
蓮二の微笑みはイマイチよく分からない。





「少し寄り道するか。」

「えっ…」

「行くぞ。」

「あ、ちょっと…蓮二…っ!」





手を掴まれてそのまま引かれた。
買い出しはいいのだろうか、と思ったが蓮二の楽しそうな顔が目に入ったから…
……ま…いっか。
少し行ったところで彼が足を止めた。





「…き…綺麗…」





それはまさしく絶景と言っていいほどの桜。
正式には無数の桜の木。
一本一本が立派でピンク色の山みたいだ。





「可愛いな。」





クス、と笑う蓮二に見とれながらも、少し意外で笑えた。
蓮二が桜の花を可愛いだなんて、珍しい。





「ふふ、蓮二…意外。」

「馬鹿。お前がだ。」

「……え?」

「……ほら、行くぞ。」

「ちょっと、蓮二?!今の──」












サクラとキミ
(ねぇ、もう一回言って!)
(断る)
(なんで!ケチ!)
(なんとでも言え)







((無意識でなければあんな恥ずかしいこと言えるわけがない。))




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蓮二くんが無意識とか、可愛いと思うんだ。



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