(企画/ボブ様リク)
「真田くん、好きです!付き合ってください!!」
「気持ちは嬉しいが、すまん。」
老け顔、老け顔と言われ続けたあの真田は、意外とモテる。
とんだ物好きもいたものだ。
……まぁ、私もその物好きの一人なのだが。
「朱鷺原、何をしている」
校舎の影に隠れていた私の名前が呼ばれる。
ギクリ、と一瞬目が泳いだ。
「何って、立ち聞き。」
「堂々と言えることではないぞ!たるん…
「でないから。何回目よ、そのセリフ。」
真田の“たるんどる!”を中断させることができる女子は、私だけだと自負している。
私が言った言葉に一生懸命に答えようとしている真田を見て、笑いがこみ上げてきた。
「数えなくていいから!」
しっかりしてるのか、天然なのか…。
それだから、ほっとけないのかもしれない。
「真田ー、隣のクラスの女子が呼んでるぞー!」
「あぁ、今行く。」
それを聞いて、さっきまで笑っていた私は、段々と口をつぐんだ。
「さな…だ。」
やっと、口が開けて声が出た。
「何だ。」
「行くの?また、告白だよ?」
背の高い彼の表情は、黒い帽子に隠れて分からない。
本当は行ってほしくない。
他の子のとこには行かないで。
……そう、言ってやりたかった。
だって、もう……戻って来ないような気がしたから…。
彼は組んでいた腕を組み直した。
「ならば尚更行かなければならないだろう。」
「……。」
相手には正々堂々と、面と向かって話すのが性に合うのだろう。
なんていうか、やっぱり真田らしい。
彼は何回か空を見たり、こちらを見ようとしたりを繰り返していた。
…静かに、言葉が紡がれた。
「断って来る。」
「え…?」
「断って戻るから、これを持っていてくれ。」
“断って来る”
いつも告白されているのを見る度に、不安になっていた私にとって、その言葉はすごく嬉しかった。
次の瞬間、頭にポンッと感触があった。
「わっ!」
「…後で返してもらうからな。ちゃんと持っていろ。」
それは、さっきまで彼の表情を隠していた黒い帽子だった。
「どうして…?」
言葉にすると真田はいきなり、あたふたしはじめて、こちらが驚くくらい落ち着きがなかった。
落ち着きがない真田は、恥ずかしそうに口を開いた。
「お、お前に会いに行く……こ、口実に……!!」
「さーなーだぁー!早くしろよ!」
言葉を遮られた真田は、私か呼ばれた方を見るか迷っているようだった。
なんだか可愛くて、『行ってきなよ』と言うと静かに頷いて、声のする方に去っていった。
足早に立ち去る真田の背中から、目が離せなかった。
『そんなことを言われたら、期待…しちゃうじゃん。』
小声でそう呟いて、被せられた黒い帽子を深く被りなおした。
やっぱり、キミが好き
(私は貴方に恋をしている)
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ボブ様、リクエストありがとうございました!
嫉妬夢ということなので、主人公→真田な嫉妬を書かせていただきました。
不器用な副部長が大好きです!←
今後とも、当サイトをよろしくお願いいたします。
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