(企画/倫様リク)
「恋ぃ?!」
「こ、声が大きいって…!」
シッと人差し指を口に当てる。
目の前にいる赤髪の部員は、自ら口を押さえた。
他の部員は物珍しそうに私を見ている。
「で?相手は?」
幸村が楽しそうな笑顔で首を傾げる。
ゴクリと生唾を飲み込んだ。
今いるのはテニス部のR陣。
しかし、一人だけ……三強の参謀だけはこの場にいなかった。
私はここにいない一人の名前をあげた。
「や…──なぎ…だけど…」
「やっぱり。」
「Σえ!?」
『やっぱり』と言った部長は再び分かりやすいように"ふふ"、と笑った。
周りの部員も何故かニヤニヤしている。
「え?え?!何!!」
「いんやぁ?何でもないぜよ。あぁ朱鷺原、俺にいい考えがあるんじゃけど…。」
部員の中で一番ニヤついてる仁王がこちらを見た。
イスにもたれている仁王は新しい玩具を見つけた子供のような目をしている。
ゴクリと唾を飲み、
「何…?」
そう……聞いてみた。
それがこの結果を出すとは思わなかった。
*************
「なぁ朱鷺原〜。今週の日曜日、2人で出かけんか?」
「え、仁王…?何、どうしたの、いきなり。」
「何ってデートのお誘いじゃよ。」
「で、で、デート!!?」
『このシナリオ通りに話せば絶対上手くいくぜよ』
自信満々にそういった仁王。
現在そのシナリオ通りに事を運んでいる。
こんなことして、誤解されないといいんだけど…。
「朱鷺原、いっそのこと俺の彼女にならんか?」
「な…!な、な、何言って…!」
「照れた顔も可愛いのぅ」
例えこれが仁王の演技だとしても…聞いているこっちが恥ずかしくなる。
あまり言われない言葉ばかりで、私は仁王に『やめて』と必死で目で訴えた。
すると仁王は周りを気にしながら、私に耳打ちをした。
『少し、ここで待っとりんしゃい』
何の話か知らないが、一応頷いてみた。
仁王が去ると、入れ代わりに柳が私に声をかけた。
「若菜、さっき…仁王に告白…されていただろう。」
「はっ!?」
まさかの彼の第一声に驚いた。
やっぱり、誤解を…
「違…!いや、あれは…」
「違う?俺には“男子生徒の告白を了承した幼馴染み”にしか見えなかったがな。」
いつもの蓮二とは違う…
、どこか冷たい印象がわいた。
私の知っている蓮二は、もっと…優しくて…
「…仁王が、好き…なんだろう?」
「えっ…?」
思わず聞き返してしまうと、彼は黙ったままだった。
私は内心、本気で仁王を恨み始めていた。
誤解はされたくないって言ったのに…!
「いや、何でもない。」
そう言って、立ち去ろうとした蓮二の腕をとっさに捕まえた。
「待って、待って!!」
ドキドキと響いているんじゃないかと思うほど、焦っていた。
今、ここで言わなきゃ後悔するっ!!
「私は…仁王の事は別に好きじゃない…よ…?」
「そうか。」
そんなことはいい、もっと大事な…大切なことを伝えないと………!
「私が…好きなのはね、す…好きなのは…!!」
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