「若菜…」





案の定、教室で若菜を見つけた。
俺の方を一回見て、急いで目を擦っていた。





「け、謙也…。」

「部活も行かんと何してんねん。」

「……いや…その……」





少し苛立っているのと、どう接していいのか分からないのが重なって、どうしても冷たくなってしまう。
若菜は下を向き、言いにくそうに少しだけ顔を俺に向けた。





「謙也に…あんなこと言われて部活になんか行けへんよ…。」





あんなこと……って…。
やっぱり、あのこと気になっとんのか。





「あんなん気にしたらアカ…」

「あんなんって言うけど!!しゃあないやんか!アンタのこと、好きやから!」





………?
彼女から聞こえた言葉が頭で何回かリピートされた。
…『アンタのこと…』何って…?





「は…?若菜、今何て…」

「…な……何でもないっ!忘れて!」





そういいながら、俺を通り過ぎて教室から去ろうとする。
俺はそれを阻止しようと反射的に若菜の腕を掴んだ。





「待てっ」

「何やの!アンタに好きな人がいるのは分かってんねん。…諦めがつかへん…。早う振ってや。」





目を潤ませて…震えている…。
目を閉じたらそのまま大粒の涙が零れるんじゃないか、と思うほど盛大に目を潤ませていた。





「なんで…振らなアカンねん。」

「え…?」





掴んだ腕を引き寄せた。
抱きしめる瞬間、俺の頬に…涙が触れた気がした。





「俺の気持ちも聞かんと勝手なことばっかり言いよって…。俺の好きな人っちゅーのは、若菜…お前や。」

「ぁ、え…謙也…?」





俺は、目を白黒させている若菜を見つめ直した。
だんだん涙が増えて行くのがわかる。





「自信なんてなかったんや。せやから、お前から告ってくれてよかったわ。」





笑いながら言うと、彼女の目からポロッと大粒の涙が零れた。
俺はもう一度、若菜の背中に手を回した。





「もう一回、聞かせてくれへん?」





そういうと軽く頷き、ギュッと俺の制服を握った。
振り絞るように出した声は…きっと……



「…謙、也……大好、き……!」





きっと、俺は忘れない。






 

今なら素直に好きといえる
(大好きやで、若菜)




***********
明日香様リクエストでした!
謙也を書いたのは初めてだったので、関西弁?が上手く使えなくてすみませんorz
あれ、謙也ってこんな性格でしたっけ?←ぇ

ひ、非似ですみません;;
リクエスト、ありがとうございました!

お題@確かに恋だった。


****追記****(03/22)
名前変換されてないところがありましたので、修正いたしました。




 



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