付き合っていることを隠す事ほど、もどかしく、イライラするものはないと今日、俺は確信することになる。
「弦一郎、何をニヤニヤしている。」
「れ、蓮二か。うむ……」
俺が弦一郎に声をかけると、焦りながらこちらを向いた。
先程から顔に似合わず、か弱いため息をついていたかと思えば、次はニヤニヤと顔を緩ませている。
「何かあったのか?」
「その……い、意中の相手が出来たのだ…。」
言うと思った。
分かっていても、言葉で聞くとイラッとする。
「相手はまさか、とは思うがうちのマネージャーか?」
「な!!お前には分かってしまうか。その通りだ///」
だから、顔を赤らめるな。
うちのマネージャーと言うのは、俺の彼女だ。
訳あって、付き合っていることは部員には隠しているのだが。
まさか、弦一郎が…。
「それで?どこが好きなんだ?」
興味本意で聞いてみた。
これがデータマンとしての悲しき性と言うべきか。
面白い事が聞けそうだと思った俺が、愚かだった。
「そ、そうだな…優しいところや、笑顔が素敵だと思うな//あと……」
そんなことは昔から知っている。
聞いたのは興味本意だったのに、心の中で反抗している自分がいた。
あいつの事は、俺が一番よく知っている。
「ん?蓮二、どうかしたか?」
「………。」
聞かれてなんでもないと答えるほど俺はお人よしでもない。
イライラが止まらない。
「あぁ、弦一郎。」
できるだけ、平常心を保っている表情を作る。
そして
「なんだ、れん…………」
バッチィーン──…
キョトンとした顔でこちらを見る。
目の前の副部長の左頬に手形がついている。
真っ赤になった手形が。
自分がこんなに嫉妬深いとはな。
そして、ジンジンした右手でペンを持ち直した。
カが居たんだ
(自分の彼女を我が物顔で自慢されて、
平常心でいられるほど
、俺は優しくはないぞ)
(れ、れん……(蚊が居たんだ、と言っているだろう?)
(そ、そうか、それはかたじけない…)
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ドSで独占欲があるといいよね!
お題提供@パッツン少女の初恋
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