サァーと雨が降ってきた。
朝は忙しくて天気予報を見るのを忘れたんだった。と朝の自分に後悔した。
今日に限って急に雨が降るなんて!
近くの図書館に逃げ込むように入った。
…だがまさかの休館日。
仕方がないので、入口で雨宿りすることにした。
「あ〜、ベタベタだー…」
そういいながら、シャツの裾を軽く絞った。
ビチャビチャっと結構な量の水が流れていった。
下を見ていると、バシャバシャっと水を跳ねさせる音が聞こえた。
「いきなり雨ってないだろぃ?!」
雨宿りに来たのだろう。
濡れた髪をかきあげる姿にドキッとした。
「あー、冷てぇ!…あ、お前も雨宿りか?」
「う、うん…」
赤い髪から滴る水は一向に止まる気配がない。
見兼ねた私は、タオルを差し出した。
「よかったら、使って…?」
「マジ!?いいのか?!…サンキュっ!」
わしゃわしゃと髪を拭きだし、『雨、やまねぇな…』と呟いていた。
私は少しだけ、止まなければいい、と思っていた。
「ん?お前、まだ髪濡れてんじゃねぇか!俺が拭いてやるぜぃ!」
「え?!わっ…ちょ………」
阻止することも出来ず、しばらく彼に頭を拭いてもらう形になった。
……なんか複雑。
「女が髪を濡らしたままだなんて、ダメだろぃ?」
「あ、ありがと………」
そんなこんなしているうちに、辺りが明るくなり、雨が上がっていた。
楽しい一時がこれで終わってしまうと思うと、とても寂しくなった。
「……じゃ、気をつけて帰れよ!タオル洗って返すから!!」
「え、あ…うん…!」
「俺、3年B組の丸井ブン太な!!!」
それを叫んで、水溜まりを弾きながら走って行った。
私は名乗らなくてよかったのかなぁ、と思ったが、また会いに行けばいい。
丸井、ブン太か………
珍しい名前。
忘れられなさそう。
いつの間にか顔が綻んでいる私がいた。
今日だけは雨が私の味方
(おかげで、良い出会いがありました。)
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雨の話が多い。
過去拍手4
お題提供@Chien11
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