朝から頭がズキズキと痛む。
何だろう…風邪…?
こんなに周りは暑いって言っているのに、寒いと思う私はおかしいのだろうか。
ふと後ろから声が聞こえた。
「若菜…?」
「っ?!宍戸?!」
振り向くとそこには、彼氏の姿が。
宍戸とは少し前から付き合っているのだ。
「どうした?顔が………」
「な、な、何でもない!!!じゃね、宍戸!!」
宍戸には心配かけられない。
そう思い、走って部室へ向かった。
頭がグラグラする。
一瞬視界がぐらりと動いた。
その反動で、前に倒れ込む。
「…若菜先輩…?」
誰かに受け止められたかと思うと、そこにはよく知った後輩の顔があった。
「日吉……」
「先ぱ…!!どうしたんです?顔が赤く……?!…熱があるじゃないですか…」
そう言って、右手を掴まれた。
私には抵抗する力がなく、そのまま保健室に連れていかれた。
保健の先生が居なかったので、ベットに座らされ、体温計を渡される。
シャーとカーテンを閉めるのは、日吉なりの心遣いだろう。
「そんな状態じゃ、今日の部活は休んで下さいよ。」
「でも!!!!」
「部員に風邪、移す気ですか。帰り道倒れられても困るので、宍戸さんに送って……」
「ダメ。」
宍戸に送って貰うなんて、心配かけちゃうじゃないか。
テニスが好きなのは分かってる…だからこそ、知られたくないのだ。
「…宍戸には…言わないで…」
「……。…はぁ、何があったかは聞きませんが、一人で帰るのはやめてください。俺が送ります。」
日吉の事だから多分引かないし、私も無事家へ帰れるか分からなかったから頼むことにした。
『ごめん、お願い』
というと、日吉は無愛想に『別に』と言っただけだった。
**************
3日間休んで、ようやく学校に登校出来るようにまでなった。
お昼まで淡々と過ごし、友達とご飯を食べているところに、ピロリンとメールが届いた。
【飯が終わったら、屋上に来てくれ。
宍戸】
宍戸から…メール?
友達に断って、言う通りに屋上へ向かった。
「…宍戸?どうしたの…?」
「………。」
宍戸は振り返り、こちらを見ているが穏やかな話ではなさそうだ。
怒ってるようにも取れる。
「…なんで、日吉と帰った。……なんで俺に言わなかった…!」
「……それは…っ!」
直ぐに3日前の事だとわかった。
なんで宍戸が怒っているのかもわからない。
でも、こんなに怒鳴られたのは初めてで…視界が霞んで来てしまう。
「…だっ…て……。宍戸に、心配…かけたくなかっ、た、からっ…!」
ポロポロと涙が零れ落ちる。
スカートをぐっと掴んで堪えようとするが、すればするほど涙が落ちる。
「…宍戸に、とって、テニスが、大事なの…知ってた、し、…私……!!」
そこで言葉が切れてしまう。
喉が熱くて口は開くが、声がでない。
すると、霞んだ視界が暗くなった。
前に宍戸がいた事に気付いたのは抱き締められてからだった。
「俺は…っ!!…かっこ悪りぃかもしんねぇけど、俺だけを頼ってほしい。他の男なんかに頼るな……。」
ぎゅうっとさっきより強く抱き締められたかと思うと、余計涙が零れた。
“俺が”頼られたいんだ
*********
友達に言われて書いた。
宍戸さん難しい(・_・;)
お題@確かに恋だった
←Novel Top