「…何してんだ」
雪の降る中、その声は真っ直ぐに私の背をさした。
振り替えればそこには、大好きな人がたっている。
「え?見て、雪兎!」
私は、両手で傑作の雪兎をすくい、景吾に見せる。
「…お前、手…」
「へ?」
私の真っ赤になった指先を見て、景吾が驚いたように言った。
「素手で雪触るか、普通!!」
「…だって、今思い付いたんだもん♪」
「…お前ってやつは…。」
半分呆れた顔で、真っ赤な私の手を掴んだ。『行くぞ』とだけ言って手を引かれた。
…あ…そう言えば
「あれ、車は?」
景吾がいつも車で来るのに…珍しいな…。
「俺だって毎日車なわけねぇだろ。」
そーなんだ。
でも、私と会う時はいつも車じゃないよね。
「…ここで待ってろ」
私はベンチに座り、ポツリと呟いた。
「景吾の手…つないだの…何年ぶりだろ…」
3年になってから、あんまり話してなかったし…。部活、大変だったんだ…。
そう思いながら、手を空にかざす。顔に風が当たって冷たい。
「ほら」
その声と共に頬に暖かいものが触れた。
「ひゃっ!?」
「飲めよ」
そういって渡されたのは、温かい缶コーヒーだった。
「あ…景吾、自販機で缶コーヒー、買えるんだ。意外。」
思わず本音がポロッと出てしまう。
景吾みたいにお金持ちだったら、自販機で缶コーヒーなんて買わないよね。
「おい、それどういう意味だぁ?アーン?」
気に触ったのか、聞き返して来た。
でも私は、ニッコリと笑って答える。
「いえいえ、なんでも♪ありがと…w」
カツンッと缶を開ける。白い湯気がふわふわと立ち上っていく。
景吾は一口飲み、『引き立て』がどーのこーのだの『入れたて』が何だのって、缶コーヒーに対して、文句を言う。ま、お坊っちゃまは缶コーヒー、飲まないからね。
「…三年間って…短いね…あっという間だったよ。」
本当にあっという間だった。景吾に初めてあった時が昨日のように感じる。
「そーだな」
「…ぃでね」
「あ?」
「景吾は…変わらないでね…」
景吾は予想外の私の言葉に、少し驚いたが静かに返した。
「…お前も…な。」
缶コーヒーが半分になった頃、景吾の手を握った。
「…景吾の手…あったかいね…」
しばらくの間、二人の間に沈黙があった。
すると、白い息を吐きながら…景吾が言った。
「…バーカ、お前の手が冷てぇんだよ。」
その、温かい手が…
そっと握り返してくれる。
空から雪が降ってくる。
それは、まるで天使の羽のようで…
空からの贈り物。
(気持ちは言葉にしないように…)
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UV〇Rwor〇dの51%を聞いてできた短編。
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