「ブーン太ッ!!!!」
そう言って、赤毛の幼馴染みに声をかける。
今は、朝の教室。
朝練がないのに、ブン太が朝早いなんて珍しい…。
「あ?若菜じゃねーの。どした?」
「べーつにー?ブン太に会いに来ただけ♪」
そう言うと、ブン太はニコッと笑った。
あたしはこの笑顔に一番弱いかもしれない。
「ふーん、可愛いこと言うじゃねぇか♪」
「でしょ?あれ?ブン太今日はガムじゃないんだ。」
いつもはずっとガムを噛んでるんだけど…今日はいつもと違った。
「おぉ、よく分かったな」
「うん。飴でしょ?」
そぅ、飴。
ブン太=ガムってイメージが染み付いちゃったから、なんだか意外。
「ジャッカルがくれてよー。結構美味いんだぜ?…」
そう言って一呼吸おいた。
「「ストロベリー」」
綺麗に重なった。
ブン太はビックリしてたけど、何となく分かっていた。
「……」
「当たり♪」
「どーして分かったんだ?」
「さぁ?愛の力ってヤツ?…フフ…」
冗談でそんなこと言うと、ブン太は笑って言った。
「愛〜〜?お前にそんなもん、あったのかぁ?」
「うん、知らなかった?あたしブン太のこと、好きだよ?」
何気なくサラリと結構凄いこと言ったよね、あたし。
「ってゆーかさ、あたしも飴食べたいなー」
「だめ。だってこれ一個しかねーし」
そう言って、舌と飴をペロッと出した。
「ちぇ、ジャッカルのバーカ。」
何故か怒りの矛先はジャッカルに向けられた。
「ふ〜ん、じゃあさ、」
そんな事は何とも思っていないかのように、ブン太は軽くあしらった。
「……?」
気が付くと、口を塞がれていた……
コロンッと口に何かが転がる。
「…ブン…ッ」
「これは俺の愛ってヤツ?」
初めてのストロベリー
(貴方が微笑む五秒前)
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五秒前シリーズ
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