「やぁ〜〜ぎゅ♪」
そう言って彼に抱きつく。座っている彼は、息しているのかどうかも分からないほど、硬直していた。
「(フフフ…固まってる固まってる♪)」
彼の首の前で組んでいた腕をほどいてやる。
「なぁに?それ、日誌?」
「ええ。」
「日直なの?」
「ええ。」
「大変?」
「ええ。」
「…あたしの事好き?」
「ええ。」
「(掛かった!!)」
「って……えぇぇ!?な、な、な、何を急に!?///////」
ニヤリと笑みを浮かべる朱鷺原に対し、柳生は赤面し、しどろもどろしている。
そこに、サラリと追い討ちをかける。
「柳生君はあたしの事好きだったのね!?」
「だからそれは貴女が…」
柳生の言い分も聞かず、本日2度目の抱きつき。
「…比呂士…」
「!?!?!?///////」
いつも出さないような、静かな声で囁いた。
予想通り耳まで真っ赤にしてくれちゃって…♪可愛いなぁ(笑)
「な…ッ…」
柳生の後ろからスッと眼鏡を外す。
「へへッもーらい♪」
そういって私は、柳生に背を向け、机から離れる。
「……//////…!?な、若菜さん!!」
遊び半分で外した眼鏡をかけてみる。
視界がボヤけて何も見えない……
「柳生の素顔拝見♪」
クルリと振り向き、柳生の顔を見ようとするが、眼鏡の度が強すぎて見えない。
「若菜さん、視力いくつですか?」
「2.0です。」
「余計見えなくなるでしょう?」
「はい。全く見えません」
「目が悪くなりますよ?」
「………。」
「…返して下さい…。」
カチャ…と音を立てて、眼鏡を外す。
はぁぁ…、今日はここまでか…
そう思って、柳生に眼鏡を返そうとする……が…
「……や…ぎゅ…?」
いつもの柳生ではない……
しかし、返事をしているのはいつもと変わらない柳生の声…
「はい?」
柳生って……
柳生って……
柳生って……
こんなに…格好良かったっけ……?
こんなに真っ直ぐな瞳で…私を見ていた…?
そう考えると、一気に顔が赤くなる…
そのとき、夕焼けが彼の顔を照らした。
──カシャン…
音と共に、手から眼鏡が落ちる。
夕焼け色の教室。
(貴方が眼鏡を拾う五秒前)
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五秒前シリーズ
主人公が忙しいなww笑
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