[act.3]


結構歩いたけど…"青春学園"ってどこにあるんだろう…。
人に聞いてみようかな…。




「あの、すみませ───」




「すみま───」




「あ─────。」




どうして誰も聞いてくれないのか。
……朱鷺原若菜、早くもくじけそうです…。
東京の人冷たい。
電車で助けてくれた人は関西弁だったから、東京人じゃないみたいだし……。


トウキョウコワイ…(((°□°;))。




「…どこよ、ここ…」




よくわからない住宅街に入り込んでしまった。
キョロキョロしている私は確実におかしい人だ。




「……あの。」

「え?」




低い声で声をかけてきたのは、これまた眼鏡の男子生徒。
だが、電車の男子生徒は丸眼鏡だったのに対し、この人は四角い黒縁眼鏡だ。
なんだ、今日はメガネデーか何かか?




「何かお困りですか?」

「あ、あの、青春学園に行きたいんですが…道が分からなくて…。」




男子生徒B(電車の男子生徒はA)は眼鏡をかけ直すように私を見た。




「俺も今から向かうところですから、案内しましょう。」

「本当ですか!ありがとうございます!」




いやぁ、東京にもいい人はいるね!
若菜さん感激!!
男子生徒Bをよく見ると"SEIGAKU"と書かれているジャージを着ていた。
手には飲料水が何本も入っている袋を持っている。
声楽?歌の人なのかな。
確かに、いい声だし…。




「もしかして、立海の…?」

「はい。…うちの学校、知ってるんですか?」

「あぁ、友人が立海大で、練習にも行くので。」




へー!
うちの学校、声楽部なんてあったんだ!
知らなかったー!




「部活は何を?」

「私は、テニス部のマネージャーを。」




あぁ!と手をぽんっと叩いてひらめきのポーズをとった男子生徒B。
そんなに驚くことかな…?




「(この子が蓮二の言っていた……)」

「何か?私の顔についてます?」

「いえ、何でも。」




男子生徒Bは何度か頷いて、また私の方を見て頷いた。
何か……変な行動。




「もうすぐですよ。」




声をかけられて前を向くと、既に門が見えていた。
青春……学園かぁ…
こんなとこだったんだー…
少し楽しみでふふ、と笑みが零れた。




「(可愛らしい人じゃないか)」




蓮二も隅におけないな。




「じゃあ、俺はこれで。」

「あ、ちょっと待って!テニス部って、どこですか!!」




男子生徒Bは人差し指を下に下げた。




「ここですが。」

「え?!」

「いっぬいー!今日は乾汁じゃないん───」

「あぁ乾!遅かったじゃないか、どうし───」










大変だ!乾が女の子をたぶらかした!

「え、英二!」




「(ふふ、賑やかなテニス部だなぁ。)」

「(あ、笑った。)」





なるほど彼もほれるわけだ
(蓮二を落とす女の子がどれほどのものか、と思っていたが意外にも普通の子だ)




(で、乾ってどの人ですか?)

(俺だが。)

(えぇ?!)




**********
尋常じゃない眼鏡の数。