[act.9] 「おはようございまーす!」 朝から元気な挨拶が聞こえる…。 寝起きでまだ覚束ない足どりで食堂に向かう。 顔を上げて声の主を認識する。 「あなたは───」 「あ、立海のマネージャーさんですね!おはようございます!」 青学のマネージャーさんだった。 確か、私より1つ年下だとか。 チラッとしか見たことがないが活発で元気な子だ。 でも、笑うとフワリと柔らかい花のようだった。 可愛いというよりは愛嬌のある子だな。 「おはようございます……あれ、どうしてご飯の準備なんか──」 「聞いてませんか?食事はマネージャーが作るらしいですよ?」 「はっ?!マジで?!」 「ふふ、マジです」 「ご、ごめんね!じゃ、私も作んなきゃだよね!」 急いで彼女の隣に着く。 ………で、えーっと…… 「何したらいいのかな……私こういうの苦手で……」 「じゃあ、私が教えますね!こう見えて、一応実家が料理屋なので」 「へー!すごいね!よろしくお願いします!先生!」 「先生はやめてくださいよ、朱鷺原さん」 あははと笑い合う。 それからと言うもの、仕事をこなしていくうちに私達は仲良くなった。 部員が試合をしている時は、ほとんど暇。 ましてや強豪校同士なんて、1ゲーム取るのも時間かかるのに。 長引く試合ばかりに決まってる。 「朱鷺原さんは、彼氏、いるんですか?」 「えぇっ?!な、何を急に…!」 「あ、ごめんなさい、答えたくありませんでしたか?」 「いや、別にそういうわけじゃ……。……います…けど、一応……」 様子を伺いながら言うと、彼女は顔を明るくした。 「あの、朱鷺原さんから告白したんですか?」 「え、うん……。…でも、一回フラれて、そのあと向こうから……ってな感じかな?」 「そうなんですか!」 参考になります、といわんばかりの頷き。 あれ?これはもしや………。 「好きな人、いるの?」 「はぅぁあ?!!な、な、な、何故それを………!!!!!!」 「なんとなく。で?もしかしなくてもテニス部員?」 「…はい…あの人です…」 恥ずかしそうに指を指すのはバンダナの少年。 如何にも、怖そうな顔。 名前は確か…… 「海堂薫……幼馴染みなんです…。」 「そっか、告白しないの?」 「で、できませんよ!薫ちゃんは私の事……嫌いですから。」 「?どうしてそんなこと──」 「おい、朱鷺原!ドリンクどこにあるんだー?」 疑問符が頭に付いたと同時にコートから声がかかる。 「あ、ごめんなさい、朱鷺原さん。……仕事しましょうか!」 「あ、ちょっ……。……ブン太のバカ!!」 「あ?なんだよ…?」 青マネさんはペコッと頭をさげて、走っていった。 ふぅ、とため息をつくとさっきのバンダナ少年──海堂くんが目に入る。 彼はある一方を真剣に見ていた。 あれ、どこ見て──? あぁ、そーゆーことね。 (彼の視線の先に、彼女) *********** 薫ちゃんが可愛くて仕方ないんです。 弟にしたい。 |