[act.6] この間の青学事件から数日。 どうやら蓮二には誤解は解けたようだ。 私は6限目にポケーっと外を見ながら"今日の部活は確かミーティングだったっけ…"と考えていた。 この時はのんき過ぎた。 まさか、あんな事になろうとは。 ********* 「はぁぁあ……」 時は少し遡り昼食時。 屋上でつかれた大きなため息。 ついているのは、我らが部長幸村精市。 「む…幸村、どうした?具合でも悪いのか?」 「真田…、分からない?」 言われた真田は少し考えてから、首を傾げた。 どうやら分からないらしい。 また大きなため息をついた幸村は頬杖をついて真田に目をやった。 「つまらないんだよ。」 「…ん?つまらない?それはどういう…?」 「そのままの意味だよ。最近つまらないんだ。朱鷺原と蓮二は何かイチャイチャしてるし、前の方が面白かったんだけど。」 真田は少々引き攣ったように苦笑いした。 視線を外すと、部長はふふと笑みをこぼした。 「いいことを思い付いたよ。ふふ…そうだね。」 「……?」 「つまらないなら面白いことを作ればいいじゃないか。……ねぇ、真田。」 「……!」 *************** 「というわけで!" 緊 急 合 宿 "を行おうと思う!」 「「はぁ?!」」 ミーティング中の幸村の突拍子のない言葉に皆が声を揃えた。 気まぐれにもほどがある。 それに緊急ってなんだ、緊急って! 「金曜日の夕方から日曜日の夕方まで2泊3日の合宿だ!」 「いやいや、"合宿だ!"って言われても!」 「何、朱鷺原。」 「いきなりすぎるよ!」 珍しく反論してみる。 私の言い分は間違ってないはずだ。 すると幸村は少しだけ口元を吊り上げた。 「あー、残念だなぁ。折角手塚の了承も得たのに…。」 「え…手塚って……まさか…!」 「青春学園テニス部部長の手塚だけど?……マネージャーがだめって言うなら仕方ない、断って──」 「よし、皆、合宿行こうか!!!」 ガッツポーズと共に笑顔を振り撒いた。 部員の中には喜んでいるやつもいれば、複雑な表情をしているやつもいる。 関係ないね! 私は手塚さんのテニスに惚れたんだよ、うん。 見たいんだよ、手塚さんのテニスが! 「──どう?蓮二は反対しないのかい?」 「…何故俺が反対する必要がある。」 「別に?……もしかして…」 クスクス、と部長が笑う。 そして柳だけに聞こえるようにボソリと言った。 「…手塚に取られちゃいそうで怖いのかな?と思って。」 "何が"と主語がなくても伝わったようで、柳は一瞬だけ眉間にしわを寄せた。 それはほんの一瞬で、気づかないほど少しだった。 「精市……そんなくだらないことを考えていたのか──」 「くだらなくなんてないよ。これは大切な────」 暇つぶしなんだから。 (平穏は終わりを告げた) (…お前の暇つぶしに部費を使うな。) (固いこと言うなよ、例のあの人と試合も出来るよ?) (生憎俺は誰かさんと違って、単純じゃあないからな。) (…チっ…) *********** 久々の更新! 書き直しすみません;; いよいよ他校との合宿! |