朝から三年B組の前でうろちょろしている女子生徒が一人。
何やっとるんじゃ、あいつは。
そう思いながら、おろおろしている彼女の肩を叩く。
「何しとるん?」
「あ!!にお…に、仁王……どぉしよぉ!」
「は?何のことか、説明しんしゃい。」
私は仁王に会えてホッとしたのか、力が抜けてへたれこむ。
昨日の今日で、どうしたらいいのか全く分からなかったから、一先ず事情を知ってそうな人に助けを求める。
「あのね、好きが柳で、データの部誌が昨日帰ったの!!」
「………………は?」
あぁ、自分は何を言っているんだ…。
焦っていると、仁王が『少し落ち着きんしゃい』と背中をぽんぽんと叩いてくれた。
ゆっくり深呼吸して、一から話す。
「……お前さん、告白したんか…?!」
コクリと頷く。
笑うか、からかい出すと覚悟していたがどちらもなかった。
怖いくらいニコニコしていた。
「…そうか、じゃあ返事聞かんといかんのぅ。」
「い、いや!いい。向こうが無かったことにしてくれるなら、私は無かったことにするから!」
そういうと、そそくさと自分のクラスに戻る。
それからというもの、授業に身は入らないし、食事も喉を通らない。
そして…嬉しいのか悲しいのか、部活の時間がやってきた。
「………ね、ねぇ、柳生くん。」
「朱鷺原さん?どうかされたのですか?」
「部活一緒に行きませんか!」
こうなったら、常に誰かと居よう!
そうすれば話題は振られないだろう。
そこまでKYじゃないよね!
「ええ、いいですよ。行きましょう。」
ヒャッホーイ!
よっしゃ!
こうして私は柳生くんと部室に向かうことになった。
………………が。
それも意味を成さず…柳が現れた。
「柳生、少し朱鷺原を借りてもいいか?」
「ええ、勿論です。私は先に行っていますね。」
柳生は爽やかすぎる笑顔で去っていく…。
あぁ、私の救世主…。
柳と二人きりにしないでください。
「ちょっと来い。」
「………はぃ…。」
腕を引かれ、校舎裏まで連れていかれる。
あぁ怖い…。
生まれて初めての告白だったんだ…。
そして生まれて初めて返事を聞くんだ、怖すぎる。
「昨日のことなんだが…。」
「え、うん。…えっと…」
「本気か?」
「…一応、本気…かな?」
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