---柳side…---




「興味がなくなった。」

「……え…?」




──片腕を…押さえている朱鷺原を見た。
手に絆創膏が増えているのを見た。
いつからこんな事になったんだろう。
ずっと前から気付いていたのに。
俺は…。




『……私の事、好き?』




あの日、答えていたら今の状況が変わっただろうか。
なんと答えたらよかったのだろうか。
答えていたら…あいつへの嫌がらせも……終わったのだろうか……。
珍しく頭に疑問が駆け巡る。
俺のせいならば、方法は一つしかない。
自分で弾き出す答えに、後悔はしないはずだった───。




「…だから、お前には興味がなくなった。そう言ったんだ。」




****************** 



---仁王side---




「…だから、お前には興味がなくなった。そう言ったんだ。」




動きが、止まった。
いきなりの言葉に、俺は参謀と朱鷺原を交互に見るしかできなかった。
『…そう』とだけ言って、タオルを抱えて校舎に走っていく彼女を見送り、ちらっと参謀を見る。




「おー、おー、モテる男は辛いのぅ。」

「仁王…」




最初はからかい半分だった。
けれど、俺の名前を呼んだ声があまりにも哀しそうで、俺は思わず息を呑んだ。




「……これでええんか?」




そう聞くと柳は黙ったまま、近くのベンチに座った。
『お前には関係ないことだろう』と呟いた柳に全てを悟った気がした。
柳は、わざと…。
俺はその場のほぼ中心部にいた後輩マネージャーを横目で見た。




「はぁあ、お前さんらしくもないのぅ」

「…俺らしいと言うのは、どういうことだ」

「そりゃ、いつもみたいに朱鷺原を弄っとったり…そういう事じゃろ」




柳はまた黙り、フッと笑った。
きっと、少し前のやり取りでも思い出しているのだろう。
そんな幸せそうな顔を見て、俺は…。


あぁ、こいつ………朱鷺原の事が…。


なんだかんだ言いながら、結局こう言うことか。




「柳、」

「…何だ。」

「後悔、せんようにな。」

「……仁王……!」




俺は呆れたように笑い、柳生のいるコートに向かった。





柳、お前さんは…優しすぎるんじゃ。







やさしい嘘つき
(嘘、意外に下手やのぅ)






*********
まさかの仁王視点。
まさかの急展開。



 




back



 

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -