「…はぁあ…」
「大きなため息やのぅ、参謀と喧嘩でもしたんか?」
教室でため息をつくと、後ろから聞こえる声。
仁王だ。
私はアレから走って家に帰り、長時間反省したつもりだ。
いくら反省しても、言ってしまったことに変わりはないのだが。
「喧嘩…っていうか、一方的にっていうか…」
「何があったんじゃ?俺でよければ話聞くぜよ。」
「……仁王…」
この時、仁王が神様に見えたのは気のせいだろうか。
うん、気のせいだな。
だって詐欺師だもん。
「…仁王が言った通り、嫉妬とか、しちゃってた…の…。」
「ほぅ、やっぱりか。…で、落ち込んどるんか。」
嫉妬で落ち込んでるわけじゃない。
まぁ、それもあるけど…
私が落ち込んでるのは……。
「……ち、違うの、わ、私が……」
本当にあったことを全て話す。
私が言った事も、彼の態度も…。
「………そうか。」
「そこで、私、酷いこと言っちゃって…っ」
ポロポロと涙が零れる。
なんでこんなに涙が出るんだろう。
なんでこんなに…私は弱いんだろう…
「少し…落ち着きんしゃい。」
ぽん、と頭を撫でてくれた。
不思議と呼吸が整ってくれた。
「後悔しとるんじゃろ?……泣いとるってことは、まだ柳が好きなんだな。じゃあ方法は一つぜよ。」
私が首を傾げると、仁王はクスッと微笑を浮かべ目を瞑った。
「相手の事を考えて、お前さんはどうすればいいのか、自分の心によーく聞いてみるナリ。そうすれば自ずと道が開けるぜよ。」
最後にニコッと笑った仁王はそのまま去ってしまった。
私は…柳に何をすれば…
どうすればいいんだろうか。
一人頭を抱える私。
一方先程教室を出た仁王は銀色の髪をなびかせながら、若菜のいる教室を見ていた。
「あんなに悩んで……。はぁ、相手を誰やと思っとるんじゃろうか。アイツは立海大の参謀……。データマンを甘く見たらアカンぜよ。」
そんなに?こんなに。
(貴方が好きなの)
******
宇宙一あなたが好きですよー。
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