Novel








自己紹介をしよう。

俺の名前はユーリ・ローウェル。




一時期は騎士団に籍を置いていたが暫くして辞め、
その後は昔と同じく下町の用心棒をしながら何となく日々を過ごしていた。





下町の命と言っても過言ではないであろう水道魔導器の魔核が盗まれるまでは。




魔核を取り返す為に帝都を飛び出してから、
とにかくそれはそれは色々な出来事に巻き込まれたが何とかそれらを乗り越えて今に至る。




…最終的には世界の命運を決める出来事にまで巻き込まれたのだから人生何が起こるか分からない。



今は旅の中で出会った仲間たちとギルドを結成し、
何でも屋として比較的充実した毎日を送っている。


大体そんな感じだ。







次に俺の相棒の話をさせて貰う。


相棒のラピードとは親友のフレンの次に長い付き合いだ。



俺が騎士団にいた時に軍用犬のランバートの息子であるラピードと出会い、
帝都から離れたとある街での事件の後、共に騎士団を脱退し帝都で暮らし始めた。




ラピードの父親であったランバートを殺したのは他でもないこの俺だ、
言い訳はしない。




だがしかしラピードはそれを理解してこうして俺の相棒でいてくれている。


何故言葉が分からないのにそれが分かるかって?





言葉は通じないが心は通じるから。
俺らの間には目には見えない絶対的なモノがあるから。


じゃなけりゃ相棒なんて呼べやしない。







相棒は本当に賢いヤツだ。

自分を犬とは思っていない、
だからケモノの様に牙や爪を武器としては使わず人間のように刀を用いて闘うし、料理だって出来る。

まぁ、味は置いておくが。





周りからは賢い犬だとよく言われるが、ラピードは俺の中では犬ではない。


ラピードはラピード、俺の大切な相棒だ。






コイツにだけは隠し事は出来ない。
フレンにさえ隠している事だってお見通しなのだ。




ダングレストで罪を背負ったあの夜もラピードは側に居てくれた。


罪の重さに独り潰れてしまいそうだった闇に染まった夜も、

自分の選んだ道を振り返ってしまいそうになる不安な夜も。



何も言わずに側に居てくれた。





だから俺も相棒に全てを預ける、いや預けられる。
そして相棒も俺に全てを預けてくれる。


それだけの関係が俺と相棒の間にはあるから。



言葉以上のモノが確かに存在するから。











俺の相棒は人間ではない、だから言葉は通じない。


言葉は通じないが心は通じる。
だから言葉なんてモノは必要ない。


どんな時だってコイツは俺の最高の相棒、昔も今も、そしてこれからも。











でももしーー出来るとなんて思ってもいないがーー、

もし俺が相棒と言葉を交わし、会話が出来るのなら一つだけ言わせてもらいたい事がある。









犬ごはんだけは御免被る、ってな












ユーリ視点の方です。
この話を考えながら寝たら夢にラピードが出てきました、可愛かった。
割とどうでもいい。

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