Novel












「…………、うわぁ」



「ん、おっさんお帰り」





突然の出張命令による、2週間振りの自宅。



鍵を開けたらそこには可愛い恋人を中心にして、凄まじいカオスが広がっていました。












私の恋人の目は他の人とはどこか違うようです。








「お疲れさん、突然の出張だったんだってな、晩ご飯サバ味噌でいいか?


あ、それとも先に風呂入るか?」







微笑みながらおっさんを新妻の様な台詞で労ってくれるユーリちゃん、



こんなことされちゃったら、
出張の疲れも一気に吹き飛ぶわーーーーー……、






……手元にある、というより周り、というより部屋全体にある悍ましい物体達が無ければ。







「ユーリちゃん、あの、その腕に抱いている物体は…なんですか…?」




「んー、コレ?


アノマロカリス。


エビの仲間でめちゃくちゃ強かったんだってさ、こんなに可愛いのに」



「あ、あのまろ…?」



「アノマロカリス」



「うん…アノマロカリスね、覚えた覚えた。


でもね、
おっさんが聞きたいのはそいつの名前じゃなくて、なん」



「おい、おっさん。"そいつ"だって?」



「え」



「謝れ」



「な、何に」



「アノマロカリスにだよバカ野郎、
こんなに可愛いぬいぐるみを"そいつ"呼ばわりだなんていい御身分でいらっしゃって?あぁ?」






ユーリさん、目がマジです。

据わってます、仕事人の目です。







「…そいつ呼ばわりしてしまい誠に申し訳ございませんでした…アノ、アノマロカリスさん」




「よろしい、許してやる」



「ありがたき幸せでござ…、ってじゃなくて!!!!!


なんでおっさんの部屋こんなにカオスなの!?


おっさんがいない間にココは古代にタイムスリップしたの!!!?」






「おっさんがいない間におっさんのカードで目に付いたぬいぐるみを買い漁った」



「はぁぁぁぁいっっっ!!!???」



「冗談だよ、じょーだん。
第一おっさんのカードの番号知らねぇもん。


家にあったヤツを持ってきたのと暇だったから作ったんだよ、


ラピードのヤツ何故かコイツらのこと気に入ってくれねぇんだもん…こんなに可愛いのに…」




可愛いって思える方が怖いです、
でもそのデレデレなお顔のユーリちゃんは可愛いです、はい。






「おれは可愛くねぇよ」



「ハッ!なんでおっさんの言いたいこと分かったの!?テレパシー!?」



「心の声だだ漏れ、アンタ顔に出すぎ」



「うっ…辛いわ…、




…ん?

てかそれよりさっき"作った"って言った?」





「おう」


「マジ?」


「マジ」





愛の力、ってスゴイわ。



マイナー過ぎて商品化され無けりゃ自分で作るまで、


これぞまさしく愛…。





おっさんもそのくらい愛されたい!!!

ぬいぐるみ化されちゃうくらい愛されたい!!!





「おっさんのは作らねぇぞ」


「なんで!!!???おっさんも可愛くデフォルメしてあげてよ!!!」




「イヤだ」



「即答!!?


ヒドイッ!!!ユーリちゃんのおっさんへの愛はそんな小さなものだったの!!??」



「そうじゃなくてだな、」



「もういい!!おっさん拗ねちゃうもんね!!!


折角ユーリに会うために必死に出張先で仕事して早く帰ってきたのに…、

ユーリは、ユーリは…アノなんたらとかってヤツに浮気してるし…」



「アノマロカリスだ、おいおっさ」



「アノマロカリスとか!?なんだっけそいつ!?
ダイオウグソクムシだっけ!?

後のヤツはよく分かんないし!!!?」



「右から順番にディノミスクス、

ビーナスフライトラップアネモネ、

サロトロケルクス、ワプティア、

フサアンコウ、オドントグリフス、



おっさんあのな、 」



「ぁああああもうよく分かんない!!!


よく分かんないヤツらに俺様のユーリが奪われたし!!もうやだ!!!」





ドガッ



「ブフェッ!!?」



「人が話そうとしてるのにいつまでも勝手に喋り続けるんじゃねぇよバカ。



コイツらはぬいぐるみ化してデフォルメになるから可愛いんだよ、


本音を言えばホンモノはちょっと遠慮したいヤツらも何個かある…



でもそれは可愛くないって言われたヤツら可哀想だし、失礼だから、

こうしてぬいぐるみにして愛でている。


だからホンモノで遠慮する必要のないモンをわざわざぬいぐるみにしなくても良いだろ?」




「ユーリ…なんか理屈がやや分からないんだけど、


取り敢えずそれって…」





「あぁもう!!


別におっさんはそのまんまで十分好きなんだよ!!!バーカ!!!!」








「ユゥゥゥゥリィィィィ!!!!!」



ツンデレ万歳、神様ありがとう。



「ちょっ!おっさん、はーなーれーろ!!」




「ヤダ!無理!可愛いんだもん!!!!!

おっさんもユーリのこと大好き!!!!

愛してるぜぇぇぇぇぇ!!!!」




「…ったくホントしょうがねぇおっさんだな。

ほら、サバ味噌冷めちまうぜ?さっさと食おうぜ」




「うん!!食べる!!


いただきまーーーす!!!」







好物を作って恋人の帰りを待っていてくれる宇宙一可愛い俺様の恋人、



これからもずーーっとずーーっと大好き!!愛してるぜ!!!







……でもちょっとそのぬいぐるみだけは勘弁してほしいわぁ…。










--------------







(でもやっぱりぬいぐるみになれば可愛いだろ?)


(いや、ぬいぐるみを抱いているユーリちゃんは可愛いけど、
そのぬいぐるみはあんまり…そうは思えない…)


(こんなに可愛いのに…、あ、ちなみにコイツら今日からおっさんの部屋の住人な)


(はぁぁ!!?)











相互記念にカピ様へ捧げます!!遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした ; ;
可愛いものが好きなユリちゃん…、何か大分話が逸れてしまった気が…すみません…文才欲しいです…

書き直し等苦情がございましたらおしらせください…ホントすみません…これからもよろしくしてやってください(泣)



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