Novel
「大変だよユーリ!また水道魔導器が壊れちゃったんだ!!」
遠くはない過去に見た
「全く…無茶だけはするんじゃないぞ!」
同じ景色
「騒ぎがあったと聞いて駆けつけたらまた貴様の仕業なのか!ユーリ・ローウェル!」
同じ言葉
「……で、その例の盗賊がさ、難攻不落の貴族の館からすんごいお宝盗んできたわけよ」
同じ、記憶。
「………な、んでだ…?」
ーーー何故オレはまた此処にいる?
「そろそろジッとしているのも疲れる頃でしょーよ、お隣さん?」
デュークを止め、全魔導器の魔核を使い星喰みを消して世界を救って……ーーー
目が覚めたら水道魔導器が爆発していて、
テッドに助けを求められて、
ハンクス爺さんに注意されて、
デコとボコと闘って、キュモール隊に殴られて?
牢に入れられて、その隣にはおっさん。
あの時と一字一句、声音も何もかも変わらず、全てが同じ。
それも、あれも、これも、どれも。
初めから?
「…………う゛…っ、…ぇ…っ、ゲホッ…」
生死を共にして闘った仲間達との記憶が、
今のこの状況が、
頭の中でぐちゃぐちゃに混ざり合って、
全てを無かったことにされようとして、
吐き出したら全てを失ってしまいそうな錯覚に陥った。
「ち、ちょっと〜お隣さん?大丈夫??どっか殴られた?」
分厚い壁越しに若干慌てふためく雰囲気と、"あの時"には掛けられなかった言葉にどこかホッとする。
「……、ハッ…、ゲホッ……ッ、だい、じょぶ…だ…っ」
そうだ、これは自分への"罰"だ。
人を殺した罪人への。
この汚れた左手で、贖い切れない罪を犯した自分への。
「……、」
そうと理解したのなら、
そうと理解せざるを得ないのならば、
「…、やって、やるよ…」
「え?なぁに?」
(皆を救える道を、ぜってぇ見つけ出す)
「…いや、そういう嘘、自分で考えんのか、と思ってな」
(そしたら全てを、受け入れてやるから)
(オレの器のデカさ、舐めんじゃねぇぞ)
「よっぽど暇なんだな、おっさん。」
2-1シュウメ
ーー目が覚めたらまた最初カラ…?
冷静になって考えてみると、
2周目、3周目って、ただひたすら同じストーリーを繰り返す。
無限ループって怖くね?って言うお話。
続く、かも。
2015.01.05 修正
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