Novel






彼女は謝罪した。
己の無知さに。

彼女は嘆いた。
己の身勝手さに。

彼女は絶望した。
己の力は世界にとって毒だったと言う事に。

彼女は悔やんだ。
普通の人間として生きたかった事に。

彼女は悩んだ。
何に悩んでいるのか分からずに、悩み続けた。

悩み、ただひたすら謝り続けた。




ごめんなさい、ごめんなさい。




何に、誰に、謝っているのか。
自分に?仲間に?救えなかった者、傷付けてしまった者達に?

謝る対象も定かでないまま、彼女は謝り続けた。






「違う」


そう言って、否定したのは青年だった。

「何故?」
彼女は青年に問うた。


彼女は知らなかった、無知だった。
知らなかったから知ろうとした。

何も知らなかった彼女は世界を、己を知り、そして己の間違いに気が付いた。

世界に存在を否定された彼女だったが、今こうしてまだ世界に存在する、生きている。

否定された存在を認められた彼女は、
しっかりと"現在"を生きている。


「お前がすべきなのは、」



そこまで言われて彼女は気が付いた。
また一つ、知ることができた。

今彼女がすべきなのは、


ありがとう。
己を、世界を教えてくれた、仲間達に。

ありがとう。
否定された存在を生かしてくれた世界に。






「正解だ」






Campanula



(ありがとう。今も昔も、変わらず私の前で微笑んでくれる、彼に。)










花名のカンパニュラは、
ラテン語の「campana(鐘)」を語源として、釣鐘のような花姿に由来しているそうです、別名はツリガネソウ。
花言葉は"感謝"。
私の1番好きな花です。


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