寿荘に帰ると、ずらっと並ぶのは俺が見てもわかる限りの"いい品"だった。
「伊藤久右衛門の抹茶のお酒、京都ちどりやのオーガニックコスメ、養老軒の季節のフルーツ大福、一保堂茶舗のお茶各種、村上重本店の漬物は…すぐきと千枚漬けだね。こりゃまた、たくさんお土産を送って来てくれたもんだねェ」
「うわ……すごいっすね」
「あっ、夕士くんおっかえり〜〜!」
「おかえり夕士くん」
「うす、ただいまっす。…んで、どうしたんすかその……お土産?」
頭に浮かぶのは骨董屋さんか古本屋さんか…でも、どちらもこういった品をお土産として持ち帰るようなタイプではない。
もしや長谷か?なんて思うも、あいつはまだ俺がここへ連れて来たことがないしな。送りようがない。それにこの品物、長谷とはまた違った感じの……。
「あ、そうか。夕士くんはまだ会ったことなかったっけ」
「101号室の子よ〜。夕士くんと同い年!」
「あそこ空き部屋じゃなかったんすね…」
俺と同い年で、これだけの土産物。なんか……。
「速達で届いたからね。今日あたり帰って来るんじゃないかなァ」
嵐の、予感?