「名前チャン、こっちにおいで」

「……はい、白蘭様……」

私は操り人形の如く呼ばれるまま足を進め、声の主の隣に腰を下ろす。
そして彼は、満足そうに笑う。

最初は髪を撫でられていただけだった寵愛は日を追う毎にエスカレートしていき、今では肩を抱かれ頬に口付けされるまでになった。
困惑を覚えるばかりだったその行為も、今は少しの胸の疼きを呼び起こすだけ。

状況に慣れたのだと思っていた。
でもそれは、勘違いだった。
私は彼に、確かな恋心を抱いてしまった。

「好きだよ名前チャン、愛してる」

「……はい、白蘭様……」

その言葉も接吻けも何もかも気紛れなのだと
……最初から判っていた筈だったのに。


墜落少女



(貴方に、墜とされてしまった)




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