4話








平日、仕事終わりに何となく寄ったゲームショップで安くなっていたゲームを本体とソフト数種類と一緒に買って帰宅した。



「ちょっと待って待って!ちがっ、曲がって曲がってぁあああああああ」

「雑魚すぎ」



私と悟くんはご飯を食べ終えてゲームをし始めていた。

最初にやり始めたゲームはレースゲーム。
私自身知らなかった…ゲームが下手だったみたい。

右に曲がる時は身体が右に傾き、
左に曲がる時は身体が左に傾く。

私の隣に座って一緒にゲームをしている悟くんに何度頭をぶつけたことか…。



「悟くんゲームうまいね…このゲームやった事あるの?」

「やった事ないけど余裕じゃん」

「さすが…」



悟くんは余裕の表情で1位でゴールしていて
私は最下位で時間切れになってしまった。

実はゲームを始めて3回はもう一回!もう一回!とやっているんだけど…悟くんの順位と私の順位は全く変わっていなかった。



「よし…違うのやろう」



そう言って私はレースゲームを止めてゲームソフトを変える。

次のゲームは人生ゲーム…。
これなら運で勝てる可能性がある。


◇ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◇


そう思っていた時期が私にもありました。



「悟くん本当に何でも上手いね…」

「運も実力の内」

「難しい言葉知ってるね…」

「さっきお姉さんが言ってたじゃん」

「そういえばそうだった…」



いいマスばかりに止まれていた時は私も大人気なく喜んでいたけど、その後は地獄のようだった。

借金の嵐…。
悪魔が出てきて所持金持っていかれるしステータス下がるし…。

その逆に悟くんには天使が来て所持金増えるしステータス上がるし…。



「悔しい…」

「俺は楽しいよ」

「…私も楽しいよ。楽しいけど悔しい!またゲームする時はリベンジして今度こそ勝つ!」



そう言って私は固く決意する。
そんな私を見て悟くんは「無理だろ」と言っていたけど関係ない…私は意外に負けず嫌いのようだ。

そんな私を見て悟くんは少しニヤッとする。



「手加減してやろーか?」

「手加減してもらって負けたら立ち直れないからしないで…」

「フッ」



私の言葉に笑う悟くんを見て思う。
本当によく笑うようになってくれたなぁと。
最初は悪態しか付いてなかったし本当に嬉しいと心から思う。

そんな事を考えながらニヤニヤしていると悟くんは「何だよ」と笑うのを止めて怒り出す。

「お姉さんは嬉しいんだよー」と言って頭を両手でわしゃわしゃと撫でると怒りながらも手を振り払わない悟くんが「ふん。」と言って拗ねてしまった。

そんな所も可愛いなぁと思いながら私は自分が満足するまで撫で続けた。





ーーーーー…。


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