2話








「ジャジャーン!ケチャップで猫ちゃん描いたよー」

「…下手」

「ひどい!」

「猫じゃなくて化け物じゃん」

「猫だよ!私の方は犬だよー」

「一緒じゃん」



お風呂から出た後、オムライスを作ってお茶と一緒にテーブルへ運ぶと男の子はそう悪態を吐きながらもかなりお腹が空いてたのかガツガツと食べ始めた。

私はそんな男の子を見てから自分も食べ始める。

オムライスが出来る前に聞いた話だと、この男の子の名前は五条悟くんといって8歳らしい。

信じられない話だけど別の世界から来たと言われ、私が「まさかー」と笑っていると悟くんは「証拠みせてやるから触って」と言って手を差し出してきた。

試しに悟くんに触ろうとすると動きが自分の意思に反して止まった。

私が「凄い凄い!本当に魔法みたい!」と1人騒いでいると悟くんは自分から私の手首を掴む。

その瞬間、私と悟くんはふわっと浮いた。

こんな事を見せられたら嫌でも信じるしかなかった。



「本当に凄いね。バリアーもそうだけど飛べるのも…それに別の世界に来たってすぐに察しがつくのも凄い」

「…バリアーじゃなくて無下限。どこにも残穢がないし呪霊も居ない…考えればすぐに分かるし」

「んー、難しいね…無下限も残穢も呪霊も」



そう私が言いながら困ったように笑うと悟くんはチラッと私を見てから目線を外した。



「一般人なら分からないのが当たり前だから」



話をしながら私と悟くんはオムライスをたいらげる。
そして食べ終わった悟くんは目を少し擦った。



「お腹いっぱいになって眠くなっちゃった?」

「…別に眠くない」



そう言いながら目をしばしばさせる。

悟くんの話によると、寝ずに丸2日は行く当てとなくフラフラとして居たみたいで眠いのもお腹が空いていたのも当たり前だと思った。

私はサッとお皿を洗うと悟くんと寝る準備をしてからベッドに横になり肘枕をして隣をぽんぽんと軽く叩く。



「悟くんおいで。」

「一緒に寝んの?」

「ベッド1つしかないからごめんね」

「…ん、」



悟くんは諦めたのか素直に頷きモゾモゾとベッドへ入る。

ちゃんと悟くんが横になったのを確認してからリモコンで電気を消すとすぐ悟くんの寝息が聞こえた。

隣にいる悟くんを見ると何だか胸がキュッと切なくなった。

まだ小さいのに1人で知らない場所に来て寝ずにフラフラして土砂降りの中1人…大人でも絶対に辛い。

泣かずに頑張ったんだなぁと思うと目尻が熱くなった。

悟くんを帰す方法を絶対に見つけよう。
私はそう決意して眠りについた。





ーーーーー…。


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