※土方死ネタ
(それは綺麗だった)

真っ白い病室に、一際目立つ黒があった。
カーテンが、風に揺られてヒラヒラと動いている。
無言でそれを見つめる男は、土方という。

彼に異変が起きはじめたのは、もう1年くらい前のことになるだろうか。

体調不良が続いた。
食欲が無くなった。
咳込むようになった。
血を、吐いた。


血を吐いたのはちょうど非番の日、万事屋にいるときのことだった。
体調不良は今までなんとか隠してこれたが、血を吐いたとなればごまかしは利くまい。
銀時に無理矢理病院に連れて行かれ、結果肺病と診断されたのだ。

そのことを知った近藤は、泣いた。
だから言いたくなかったんだと困った顔をして土方は笑った。
沖田は、姉も同じ肺病でこの世を去っているため、なんともいえない表情を浮かべてただ無言に、土方を見下ろしていた。


「なぁ、銀時」

「ん?」

「俺、あとどれくらい生きられるだろうな」

「……」

「なぁ、銀時」

「ん?」

「………死にたくない」


その言葉は、プライドの高い土方が零した最初で最後の言葉だった。
土方の頬を伝った水滴を、銀時は指で掬い上げた。


「大丈夫、なぁ、俺がいるから、だいじょうぶ」





その2日後、俺の愛おしい人は、二度と動かなくなった。





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