銀土/原作
(ラブ・バイオレンス)


「ねー、土方くーん」

「馬鹿野郎!!近づくんじゃねぇっっ!!!」


盛大な音をたてて、愛しき君の右手が、俺の左頬にぶつかった。
気持ちいいくらい音が響き渡り、何事かと道端の通行人は振り返るが、また何事も無かったかのように立ち去っていく。
いつものことなのだが、やはりいつものことと割り切れず、自分の視界に映る景色が滲んだ。

ツンデレ、俺は別にツンデレは好きでも嫌いでもない。でもどっちかというと好きな部類だ。
土方君はいわゆる、ツンデレ、という属性に部類している。
しかもいい具合にツンとデレが混じっているのではなく、極端にツンの多いツンデレだ。

公共の場でそういうことはお引取り願いたいのか、いつもこうやって殴り飛ばされたりする。
蹴りもある、抜刀されることもしばし・・・。
この前、着流しの格好で蹴りいれられた時に、「生足いいね」と口を滑らせてしまい、そのあとタコ殴りにされたのは言うまでもない。

本当に俺のことが好きか?とたまに思う。いや、いつも思う。
俺の恋人は、照れ屋さんなどと可愛い言葉で収まらないのは、上の説明でよく分かったと思う。


「いてて・・・・」


チラリと土方君のほうを見る。
少々イライラした様子で煙草を銜えている。ドSな部下に途中で逃げられたのだろうか。


「なぁ、そんなにイライラしてちゃ体に悪いぜ?」

「テメェにゃ関係ねーよ、馬鹿」


プイっと、そっぽを向く土方君。そんな仕草さえ可愛いと思う俺はおかしいのだろうか。
いや、正常だ、俺は正常だと信じている。
土方君はなにやらブツブツ言っているし、全然俺にはかまってくれないんだけども。
ここ数日、仕事が忙しくて俺は放置プレイをかまされていた。
俺はそんなに大人じゃないんでね、土方君の前限定で。
だから、土方君が俺にかまってくれないのは我慢ならないわけですよ。
そんなに組のほうが大事かって思う。まぁ、土方君にとって真選組は命より大切だってわかってるんだけどもね、どうも素直に割り切れない。

ひょい、と土方君が銜えていた煙草を取って、自分の口へ運ぶ。


「こんなものバッカ吸ってちゃあ、よけいイライラすんぞ?」

「な、な、ん」


ニっと笑ってやると、土方君は余計に顔を真っ赤にさせて、口をパクパクさせた。


「えー、これくらいで真っ赤になってー。キスくらいいつもしてんじゃん」

「そういう問題じゃねー!!!!」


今度は右ストレート、さすがにきついよ土方君。
これは照れ隠しととってもいいの?いいんだよね?そうだよね、
もう少しソフトな照れ隠しでもいいんじゃない?って、そう思ったりする。
だって、銀さん、会うたびこれじゃあ体もたないもん。

でも、こんな行為でも幸せ感じている俺は、そうとう末期だと思う。






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