追憶

  ※アニメだとネタバレ?/アリババがうじうじしています。/カシアリ前提のアリババとザイナブ

バルバットのあの事件から2日が立った。

「カシム…」
自分でもみっともないと思うほど、俺はカシムのことを引きずっていた。
アラジンモウーゴ君のことで落ち込んでいるはずなのに自分より
俺の心配をしてくれている。
本当俺はふがいない。

国を捨てて、
逃げて逃げて。
みっともない生活を送っていて。
でも
アラジンに出会って。
ダンジョン攻略して。
俺も成長できたと思った。
バルバットを変えられると思った。
区切りをつけられると思った。
でも違かった。俺は弱かった。
何もできなかった。
結局国を救ったのはアラジンやシンドバットさんで、
俺は唯一の親友を…。

カシムを救えなかった。

カシムのことなら何でも知っていると思っていた。
カシムの一番の理解者は俺だと思っていた。
どれだけ間が空いていようと、溝が深くても
一番は俺だと思っていた。
うぬぼれていた。

だけど実際。俺は何もわかっていなかった。
カシムのことを一ミリもわかってなかった。
溝が深すぎた。気づかないうちに間が空きすぎていた。
俺が無知すぎた。甘かった。

そう。俺はカシムに甘えていた。
否定されないことをいいことに
ずっとカシムに甘えていて。
カシムの真意にも迫ろうとはせず。
全部甘えていた。
その前の事件も俺の甘さが招いた事件だ。
どれもこれも。
「俺が元凶じゃねーか…」

今回も最終的には他人に甘えていた。
オレハナニモシテイナイ

嗚呼本当にだめだ俺って奴は
「ダメダメ人間だ…」

そんな考えがループしそうになっていたとき
ドアが叩かれた
『アリババ殿、罪人霧の団の幹部がアリババ殿と面会したいとのことです。』
霧の団の…幹部?
嗚呼。俺を殴りに来たのか。
「いいぞ。通してくれ」

ガチャ
「失礼するよ…」
現れたのは少し意外な人物だった
「ザ…イナブ?」
そう。霧の団の幹部ザイナブだった
「ああ。隣。座ってもいいかい?」
「あ。ああ!もちろんどうぞ!」
俺は少し挙動不審になりながらも
ザイナブを右隣に座らせた

沈黙…
とても気まずい…
やはりザイナブは俺に文句を言いに来たのだろうか。
嫌でも短気な霧の団の奴らなら
部屋に入ってきた途端殴られそうな…
気がします…はい。

って。ここは俺が切り出す…しかないよな!
「あ。そう「アリババ…」へっ?」
俺が切り出したらザイナブがいきなり口を開いた。
「なんだよ?ザイナブ」

「あんたさ。カシムのことどう思ってる」

いきなりの質問。直球すぎる…
「ど…どうって。どういう意味でどうなんだよ…」
あれ?俺は何を言ってるんだ意味が分からないぞ
「あー。なんだ。こうなってよかったって思ってるのかい?」
そういうことか…
「…俺は……最初は。思った…けど…思い出せば
 俺は何もしていないし、それに…
 俺がちゃんとしてれば。カシムは消えることはなかったし。」
…嗚呼ウジウジするな…おれみっともない…
「つまり。よくなかったって…おもってるんだね?」
「うん。そうなる…」
「そっかぁ。」

また沈黙。
だけどこの沈黙はすぐやぶやれた
やぶったのはザイナブの方だった。
「あたいはね。そうは思わないよ。」
「え。」
「よかったと、そう思ってる」
「ザイナブ…」
意外だった。
霧の団は寄せ集めでいたのも多かったが
ザイナブやハッサンは小さいころからカシムと一緒にいた
つまり。この結果を一番快く思ってない人だと思っていた。
それが「よかった」?だって…?

「知ってると思うけどあたい…というかあたいとハッサンは
 ずっとカシムと一緒にいたんだ。
 霧の団を組織する前からずっと…。」
「ああ。」
「だからこそ。これでよかったと思うんだ…」
「どう…して?」
核心に迫るのは怖かったけど…
どうしても知りたかった…
「カシムの奴消えるとき…ルフっつたっけ?
 あれであたいたちの前にも来てくれたんだ。」
「そう…だったのか…」
「その時ねあたいたちになんて言ったと思う?」
「…わからない。俺は…カシムのこと何も知らないから…」
「…。『ありがとう』って言ったんだ…しかも
 今まで見たことないようなきれいな笑顔で…」
「…!」
カシムが…笑った?「ありがとう?」

「あたい。本当に始めてみたんだ…カシムのあんなきれいな笑顔…
 それを作ったのはね。まぎれもない…アラジンとか言うチビでも
 七海の覇王とやらでもなくて、
 あんたなんだよ。アリババ」
「お…れ…」
俺がカシムの笑顔を作った?訳が分からない…
「そう。あんたっ!」
そういったザイナブもすごくきれいな顔をしていた…
「で…でも俺は何もしていない…
 カシムに対してもバルバットに対しても
 何も…何もできなかったんだ…!!」
ナニモデキナカッタ…
あれから俺の頭の中でずっとリピートしてる言葉。

「…あたいはそうは思わないって言ったろ?」
「え…?」
「あんたがどう思ってるか知らないけど…
 あたいたちは…バルバット国民は…  
 カシムは…あんたに感謝しているんだよ?」
「俺に…かんしゃ…?」
「そう。みんなの心を動かしたのは誰だい?
 あんただろ?違うのかい?」
「…。」
わからない。それはいろんなひとの助力があったからで…
「だからね。今回はあんたにお礼を言いに来たんだ…
 偉そうだけどバルバット国民を代表して 
 カシムの代弁者として…」
「だい…べんしゃ?」
そんなこと、俺は言われる筋合いはない…
ザイナブが立ち上がって俺に向きなおした。

「ありがとう。アリババ」

柄にもなく俺に深々とお時期をした。
「なっ!ザイナブ!!?顔上げろよ!
 俺…そんなえらくねェからよ…!!」
「なぁ。アリババ。あんた『自分には何もできなかった』
 っていったよな?」
「あ。あぁ。」
確かに言った…

「あのね。これはあたいとハッサンの事情なんだけどね…」
ザイナブはどこかいとおしそうに自分のおなかを撫でた。
「ここに。あたいと多分ハッサンとのガキがいるんだ。」
「…!!」
びっくりだ。二人ができてたのもしっていた
それに…そ。そういう行為をしていたことも知っていた…
(隣の部屋だったし…)
だけど子供ができているなんて思ってなかった
「あたいも昨日知ったんだ… 
 けがの治療してもらってるときに。
 医者が『おめでとう』だってさ。
 本当嬉しかった…」
「あんたがいなかったら医者に診てもらうこともなかったし。
 ガキの存在に気付かないで今もバカやってたかもしれない。」
「あんたはこうやって。小さい命を救ってくれてもいるんだ…」
「俺が…救う?」
「ああ。すごーく。感謝してるよ。」
そういってザイナブは今までのどんな時よりきれいな母親の笑顔を見せた。
夕日を浴びてとてもきれいだった…
「…ありがとう…ザイナブ」

俺の心にかかった霧は少し晴れた…

「あとね。もう一つ用事があるんだ…」
「なんだ?」
「これ…」
そういってザイナブは小さい紙の包みを取り出した。
「なんだ…これ?」
「カシムから…預かってたんだ…もし。この戦いで俺が死んだら
 アリババにって…」
「!?」
カシムが俺に…?
「最初は演技悪いって断ったんだけど
 カシムの目すごく本気だったからあたいも断りきれなくてさ。」
「そうだったのか…」
確かにこの戦いは生死危ない戦いだ…
死ぬぐらいの覚悟はあったのだろう
「あたいね。。カシムはこうなることわかってたんじゃないかと思うんだ…」
「…うん。」

「さーって。あたいはこれでずらかろうかね!」
「え。もういっちゃうのかよ!?」
「ああ。お前もあたいがいたら、それ、開けにくいと思うしさ。
 それにあたいのやるべきことはすべて終わったしね…」
「そっ…かぁ…」
これはひきとめても無駄そうだった…
俺もお礼がしたかったのに…
「もう一回いうけどさ…
 本当にありがとうねアリババ… 
 今からじゃ遅いかもしれないけどあたいハッサンと幸せになるよ!!
 もう喧嘩なんてしないさ!」
「ふはっ。本当かよw こっちこそ。ありがとうな」
「ああ。じゃあな」
最後にきれいな笑顔を咲かしてザイナブは帰って行った…


「カシムからか…」
何が書いてあるのだろうか…
罵倒だろうか…思い出だろうか…
少し…怖いけど…知りたい…
今まで何もカシムのこと知らなかった分…
これを開けてカシムのこと少しでも知れるのなら…
知りたい…から…

ガサ…
「っ!?これ…カシムの…ぴ…あす…」
包みの中はカシムがいつも身に着けていた
俺とおそろいの色違いのピアスだった
「これ…」
「ん?」
下に何か紙があった…
「手紙…?」
いかにもカシムらしくない…


そこにはきったない。
でもまぎれもないカシムの字で文章がつづってあった…

『アリババ。これを読んでるってことは…
 俺は死んだんだな…。
 あーあー。まぁ。覚悟はしてたけどな…
 お前はさ…昔っからうじうじしてて 
 何もできないやつで。ずーっと
 俺の周りをうろちょろしてて
 何にもできないやつだとばっかり思ってた…
 …あー。なんだ。俺手紙なんて初めて書くから
 何書いていいかわかんねェ…
 まぁ。なんだ。ありがとうな。。
 アリババ。感謝してる…よ。
 確かに俺ら色々あったけどよ。
 でも。俺ら親友だよな?
 本当にいろいろ助かった。
 感謝してるって。二回目かこれ…
 あー。なんか手紙でも恥ずかしいな。
 こういうことかくの…
 あと。ピアスだけどよ。
 お前が持っててくれ。 
 まぁ、もしいらなかったら捨ててもいいからな。
 よ。ければつけてくれると嬉しい…ケドヨ。
 まぁ、あれだ。ありがとうアリババ
 お前は本当にすごい奴だよ。
 どんな別れ方をしたか。今の俺には分からないけどよ。
 大好きだぜ。アリババ』

「…カシム…」
急に涙がぽろぽろあふれてきた…
これがカシムの本当の本当の本心なのかは俺には分からない。
だけど。今は本心と信じたい…

「カシムさ…」
俺も…
俺もお前のおかげでいろいろ助かったんだぜ…
今も…ガキの頃も…

「俺もお前のこと大好きだよ。カシム、ありがとう…」

俺の中のもやもやは消えた…
これから俺はバルバットを復興させなきゃいけない…
違うさせるんだ。
それで胸張って。またカシムに顔をむけられるように。
「アリババとの旅もそれからだなっ!。」

そういってアリババは笑い。
立ち上がった…


------------------------
うわあああ終わり方がめっちゃ中途半端…
そしてこれが初めての
マギですううう!!
カシアリ大好きなんですねー。
アリババの耳に新しく加わったピアスは
カシムの遺品だと信じたいです。
妄想です。
完璧な。
ザイナブもハッサンと幸せになってほしいな…//
霧の団のみんなが幸せになればいいのに…!!!

←|→


Main Top
Top Back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -