アンダンテ | ナノ

my partner, my friend, my honey!

「おはよう、ジャイロ。朝ご飯出来てるぞ」

朝起きたらジョニィがハーブティとパスタを拵えてくれていた。爽やかな香りとうまそうなにおいに素直に腹が反応する。「はい」と取り分けられた皿を差し出され、礼を告げて受け取った。レースが始まって数ヶ月、こうして自分のために料理を振る舞ってくれる相手がいることの有難さを、今更だが何度でも、しみじみする。故郷を出たときにもこの国で一人修行していたときにも夢にも思っていなかったのだ、こんな幸せな朝など。

「何だか嫁みてえだな?」
とパスタをすすりながら言うと、「な、にバカなことを言ってるんだ」と返された。先に食べ終わった皿を急いで片付ける様を見てると、動揺してるのだろう。まったくオレの伴侶は素直じゃない。

ここまで朝の準備をしてくれたんだから、行ってらっしゃいのキスも欲しい。などと半分冗談、半分本気の言葉にやはりジョニィはしかめっ面をして、「さっさと行くぞ」と馬に乗り込んだ。「へーへー」と適当な返事をしながら内心残念に思う。まったくオレの友人はノリに乗ってくれるときとそうじゃないのときの差が激しい。

支度を済ませて自分も馬に乗ると、「ジャイロ」と名前を呼ばれた。なんだなんだ。ジョニィのくいくい動く人差し指に誘われるがままに顔を近づけると、柔らかい感触とかわいらしい音が、頬にぶつかった。
「―これで満足なら、行くぞ」
赤くなった顔でそう吐き捨てて、ものすごいスピードで馬と一緒に駆けていく。おい、レースゴールのときよりスピード出してねえか。呆然とその背中を見ながら、ようやく何が起こったかじわじわと理解した。熱くなった自分の頬に手をやる。やるこたやってんのに何こんなことで照れてるんだろうな、お互いに。
恐らくしまりがない顔になってる自分をジョニィに見られないで良かったが、追いかけなくちゃな?行くぜヴァルキリー!愛馬を撫でながら先行くあいつに負けないスピードで走り出す。割とすぐに追いついたジョニィの顔は赤いままでこちらに目もくれなかった。まったくオレの恋人は今日もかわいい!



170428

Clap

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -