アンダンテ | ナノ

ひるのおはなし

「ジョニィ!あそこの岩陰で休憩するぜ」
ジャイロは少しスピードを落として後ろを走る相棒に声をかけた。前方に見える大きな岩は照りつける日差しからも襲いかかる敵からも身を守れそうだ。

「…構わないけど、ちょっと早くないか?」
同じくスピードを落としたジョニィが腕時計を見ながら訝しげに言う。確かに朝出発してからそんなに時間は経っていないだろう。環境や馬たちの調子も悪くない。しかし。

「…調子が悪ィんだ」
「ヴァルキリーが?君が?」
「…オレが」

原因はわからないが頭が痛い。動けないほどではないが鈍い痛みが続いて治まりそうもない。先を急ぎたいのは山々だが、いつだかのように完全に調子を崩すわけにはいかない。一人だったら多少無理していただろうが、もう一人ではないから。

「熱は?」
「ない。頭痛だけだ」
「わかった。それなら早く休もう」
「悪いな」

額に手をやりながら苦い顔をしているジャイロを、ジョニィはじっと見つめてきた。青い瞳に浮かぶものは心配、とは別のものもありそうだ。

「何だよ」
「……言うようになったな、ジャイロ」
「あ?…こういうときは言えって言ったのはお前の方だろ」

体の調子が悪いことを黙っていたらダウンしたジャイロにぼくたちは協力関係じゃないのかと怒っていたのはどこのどいつだ。

「…そうだったな。また看病は必要か?」
「いらねえよ」

嬉しそうにしやがって。ジョニィの乏しい表情から色々読み取れるようになったジャイロは心の中で呟く。あのときとは違う面映ゆさがあった。だが、悪くない。

「昼はぼくが作ろうか」
「豪勢なもん頼むぜ」
「元気じゃないか君」
「腹はへってんだよ」
「じゃ、大人しく待っててくれ」
「おう」



170103

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