アンダンテ | ナノ

140字SS詰め(2014)

お題はこちらの診断メーカーさんより。

7/22『おやすみのキス』
不意にまだガキだった自分が眠れなかったときに母が優しくしてくれたそれを思い出しただけだ。
自分が今からすることはただの気休めにすぎない。
ただ…今このとき、何も考えずにぐっすり眠れるように。
それだけを思ってオレは横たわるコイツの額にそっと触れたのだった。

7/23『見透かされてる』
職業柄なのか元来の気質なのかとかく彼は目ざとかった。
どうしてぼく自身ですら見えない澱んだ所にある気持ちをあんなさらっとすくってくれるんだ。
全てを見透かされてるようで正直気持ち悪い。
なに「愛が為せるワザだぜ」?何それ新しいギャグ?
まったく君は最悪で、最高だよ、ジャイロ!

7/24『僕しか知らない君の秘密』
たまに宿の鏡で自分の姿を確認して肩を竦める。
祖国にいる家族に見られたら泣かれるなこれ。
んだよジョニィ?医者ってのは清潔でなきゃいけねえからこんな姿見せられるか。
「そんなボロボロでも男前な君を知ってるのはぼくだけかな」?
…ああそうなるかもな。それよりさっさと風呂入るぞ!

7/25『喋っちゃだめだよ』
アイツとは喋っちゃ、いや近づいちゃだめだよ!ってのは一見かわいい台詞だが、
実際は嫌悪感丸出しで唾棄するように言われたものでありときめくものは何もない、はずだったんだが。
恐竜化したとき君がアイツの側にいるのすごく嫌だったんだからな!
と続けられ、口元が緩むのを抑えきれなかった。

7/26『恋の病』
泣き止ませる必要などなかった。
オレは保護者じゃねえし、こいつはどれだけ泣いても自力で立ち上がっていける男だ。
わかっているのに放っておけなくなったのはいつからだろう。
零れ落ちていくその涙を拭って、震えるその身体をかき抱きたい、と思ったのは。
このやっかいな病気にかかってしまったのは。

7/28『がむしゃら』
大地を蹴る音、馬の体温、風のにおい、眼前に広がる景色、
自然の恵みと脅威、血の色と傷、コーヒーの味、君の歌。
必死に駆け抜けたあの日々を僕は忘れたりはしない。
けれど、いつか全てがぼやけてしまうくらい歳をとっても、
こんなことあったよなって君と笑って振り返ったりも、したかったな。

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