アンダンテ | ナノ

140字SS詰め(2016)

お題はこちらの診断メーカーさんより。

07/22『冷えきった指先』
普通の手袋では爪弾が撃てないからとさらけ出されたそこ。何度も命を助けられたことだってあるこいつの頼もしい武器が、今は寒さのせいでか細く震えている。そんな男の手を目にしてあたためてやりたいと思う自分はおかしい、なんて今更だったので、オレは思うままにその手を包み込んだ。

見てて寒いんだよとぼくの右手を包み込んできた君の方がぼくの手袋より露出度あるじゃないかと思ったけどその手がとても暖かかったので何も言えなくなってしまった。すっかり立派な武器となったそこが今は大人しくジャイロの手の中に収まっていることが我ながらおかしくて、でもそんなのは今更だった。

07/23『「言ってごらん」』
幼い頃ぼくがいけないことをしたときでも何か堪えているときでも優しく問いかけてくるものだからぼくは兄に隠し事なんて出来なかった。そして今眼前にいる男にも。兄さんとは似ても似つかぬ言い方で強引に揺さぶってくるのに、この瞳に見つめられたらぼくは口を噤むことを許されなくなってしまうのだ。

11/26『振り向きもせずに』
君は常に先を急ぎ前を見据え背を向けていたけれど、僕を見捨てることはついぞしなかった。それは君の優しさで、感傷で、弱さだったのかもしれない。だけど僕にとってそれはいつだって暗闇を進む第一歩になったんだよ。待っててくれた見守ってくれた道標ともなった君の背中が、だいすきだった。

Clap

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -