アンダンテ | ナノ

お花見

ジャイロ、今年もサクラが綺麗に咲いているよ。リナが教えてくれたこの花を、初めて見た娘も気に入ったみたいで嬉しい。もっと近くで見たいとせがむ彼女を肩車しているのだけど、頭の上ではしゃぐ声も、何も言わずに隣で微笑んでいる妻も愛おしい。

君はこの花をどう思うだろう。僕たちの旅は自然に敬意を払えど花を見て楽しむ余裕なんてなかったから、この穏やかな光景に君もいてくれたらと思う。

なあ、ジャイロ。僕や君の国から遠く離れた東洋の地で舞っている花びらの一枚一枚にも、黄金長方形があるんだ。そんなことは当然かもしれなくても、何だか驚いてしまったし感動する。
もう爪を回す必要はなくても、君の教えを、あの黄金の形を、僕は忘れないよ。そこには必ず君がいるような、そんな気がするから。


160425

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