DQB2 | ナノ

  『変身』


「そのドレッサーてやつは本当にすごいな」

 今日も今日とて一瞬で姿を変えた自分を見ながらシドーが感心している。

 気になるならシドーも使ってみる?

「いいのか?」

 もちろん。

 するとおそるおそるといった感じでシドーがドレッサーの前に立つ。映るんだな、とぽつりと零れた一言はあえて聞こえなかったことにした。悲しかったことを無駄に掘り返したくはない。

 ぺたぺたと鏡を触りながら「おお……」と己の姿を見ているシドーは少しおかしくて、ふふっとなりながらも、気付いてしまった。いつも何気なく鏡に表示される選択が、シドーの前にも映っている。

『おとこ』『おんな』

 これは。……これは……いやいやそんな勝手にやっちゃいけないし。でも気になる。ものすごく気になる。これを選んだらどうなってしまうのか好奇心が疼く、が、いやいやいや……。

「……なにを呻いているんだオマエ」

 大丈夫か?と心配してくれる優しい友よ。不埒な自分を許してほしいです!




お題元→ ○○を使わない140字小説お題
210122



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -